そうしたらスッと後から乗ってきた方の匠が消えてしまった。

「これって……」
「これは青龍の得意の能力の1つだ。身体を分解することが出来る。今消えた方が分解した方。運転席に居る方が本体だ」

 結羅が驚くと、伊織が代わりに答えてくれた。
 四神にはそれぞれ特殊能力があるのは知っていたが、分解することまでは知らなかった。まさか、そんな能力があったなんて。
 そうなると、助けてもらったのは匠がニセモノってことになる。

「はっ? そんな能力あったなんて知らなかったんだけど」
「言ったつもりはないが?」

 茜が文句を言うと、伊織は冷たく言い返された。グッと苛立ちを覚える茜を無視して結羅の方を見る。

「どうして、合コンなんかに行ったんだ?」
「……それは、強引に誘われたのが断われなくて」

 断われなかったのは本当だが、樹のことは言えなかった。結局行ってしまったのは事実。自分にも責任がある。

(そういえば樹は大丈夫かしら?)

 樹をそのまま置いてきてしまった。茜達を連れて逃げるのに必死で、思い出している暇がなかった。早く帰るとメッセージに送ったが心配だ。
 結羅はそう考えていると、伊織は、かなり不機嫌になる。

「お前は俺と結婚して既婚者だろう? どうして合コンに行く必要性がある!? 断わればいいだろう」
「……それは」

 結羅は言葉に詰まった。確かに、そうなのだ。
 もっとはっきりと結婚しているから行けないと言えば、こんな大騒ぎにならなかっただろう。上手く対応が出来なかった自分に情けなくなる結羅。