「ひっ!?」

 黒色のスーツ姿は恐怖で怯えた声が出ていたが、隼人は怒鳴りつける。

「何をやっているんだ!? さっさと攻撃しろ」
「は、はい」

 黒色のスーツ姿の男達は拳銃を取り出して打ってきた。こんな路上裏で打つなんて、正気ではないだろう。
 しかし、匠はそれを、もろともせずに片手で全部受け止めてしまう。手を離すと、バラバラと拳銃の弾が地面に転げ落ちた。

「ば、バケモノ!?」

 真っ青な表情で恐怖を抱く黒色のスーツ姿の男達を他所に、匠は素早く走り抜けて殴りつける。ドサッと倒れる黒色のスーツ姿の男達。
 その後も蹴り飛ばしたりして反撃する匠。あっという間に隼人のみにしてしまった。

「や、やめろ。そんなことをしてみろ、柳木さんが黙っていないぞ」
「知らねぇーよ」

 そう言うと、匠は隼人の顔を手で押さえつける。そうしたら隼人は白目を向いて、そのまま倒れてしまった。無事に助かったようだが、彼はどうなったのだろうか?
 隼人から微かな生気しか感じられない。

「あの……彼は? どうなったのでしょうか?」

 結羅がそう言うと、匠は無表情で結羅を見てきた。冷えた目で。

「呪詛の霊力を全て奪い取った。まだ息はあるが、そのうちに死ぬかもな」
「えっ? そんな……」

 つまりは呪詛の効果を弱めたが、その代償に彼の生命まで奪い取ったことに。
 結羅は動揺する。こんなことで人の命を奪っていいのかと。
 しかし、その時だった。バチンッと匠の頬を叩いたのは茜だった。