「じゃあ、いいじゃん。彼氏とか出来るかもしれないしさ。私の彼氏はお金持ちで顔が広くて、定期的に幹事してくれる合コンなの。場所はカラオケだから気軽に行けるから。有名大学に通っている男性や医者を目指している男性とか普通に居るし。私が頼んで紹介してあげてもいいし」

 自慢げに言ってくるが美香だが、彼氏が幹事とは驚きだ。
 結羅は合コンとか行ったことは一度もないから、よく分からないが。そういうのは、彼氏や彼女が居ない人が幹事をするものだと思っていた。

「あの……それでも私はお断りします」

 どのみち、そういうのは興味がない。怪しいところはなるべく避けたい。
 結羅は遠慮気味に断わった。しかし美香って子は食い下がらない。

「えっ~いいじゃん。嫌になったら、飲み食いするだけでもいいからさ。白石さん大人しいから、こういうところで彼氏を作らないと」
「えっ……」
「本当にお願い。人数は揃えるって、彼氏に言っちゃったし」

 必死に頼んでくる彼女に、困ってしまう。今はあまり勝手なことはしたくない。
 そもそも、どうしてここまでしつこいのだろうか? まるで来ないと困るような態度だ。それに結羅は警戒心を強くする。
 どうしたものかと戸惑っていると、

「おいおい。嫌がっているのだから、それ以上は誘ってやるなよ!?」

 そう言って、止めてくれたのは樹だった。少し慌てた様子で注意をしてくれる。

「えっ? 白石君!?」

 ところが美香は、止めに来た樹を見て、興奮気味に言ってくる。他の女性生徒も。
 樹はあまりそういう素振りは見せないが、女性からの人気は高い方だ。男らしく、顔立ちも整っているからだろう。

「えっ? 2人共、もしかして付き合っているの!?」

しかし、どうして盛大な勘違いをされてしまう。