「えっ……それは」
「……俺はお前らを信用していない。必要な時には、こちらから声をかける。それ以外は何も求めたりするな」

 それだけ言うと、そのまま部屋に入ってしまった。伊織の表情は冷たいままだった。
 結羅は置いてぼりに。

(……信用すらされていないのね)

 分かっていることだったが、改めて言われると辛いものがある。夫婦なのに、冷え切った関係に寂しさと虚しさを覚えるのだった。