周りにどれだけ言ったところで、SNSで上げた以上は人の目がつきやすい。よほど影響力が強い人ではない限りは人の戸は閉じることは出来ない。

(このことは、伊織さんは知っているのかしら?)

 結羅は伊織がお守りのことを知っているのか気になった。ここまで大きくなっていると、警戒するとしても情報を共有していないと、何かあった時に連携が取れない。
 茜の傍に匠が居たので、これから知る可能性はあるが、彼自身の危険性を考えても相談がしたい。
 そう思った結羅は、その日の夜。伊織が帰宅するまで寝ずに待つことにする。
 伊織が帰宅したのは、夜の22時が回っていた。渡り廊下の傍で待っていると、上着を脱いでネクタイを緩めた姿でこちらに歩いてくる。

「……なんだ。起きていたのか?」
「あ、あの……お帰りなさい。相談したいことがありまして」

 結羅は緊張しながらも、思い切って話しかけた。しかし伊織は、ため息を吐くと気にすることなく渡り廊下の方に向かって行ってしまう。無視されてしまった。

「あの……」
「こちらは、こちらで捜査する。勝手なことをせずに我々の言うことだけ聞いていろ」
「えっ?」

 背中越しで伊織はそう言って、立ち止まってきた。結羅は驚いて聞き返した。

「それは……どういう?」
「……二度は言わん」

 ギロッと結羅を睨みつけると、そのまま渡り廊下を歩いてしまう。結羅はハッとして慌てて追いかける。

「待って下さい!? それでは困ります。これからのこともあるので、夫婦として協力させて下さい」

 簡単に食い下がることは出来ない。これでは話し合いにならない。

「……夫婦? 君は除霊以外に何が出来るんだ?」