「フフッ、気に入ってくれて良かったわ。これを付けていれば、きっとコントロールが上手く出来るようになるわよ。大事にしてね。でも、このことは誰にも内緒ね?」

 ウインクをすると、そのまま何処かに行ってしまった。後ろ姿まで綺麗な人だったと今でも覚えている。
 そのすぐ後ぐらいだ。姉の結羅が慌てて迎えに来てくれた。

「茜、ごめんね。迎えに来るのが遅くなって」
「おねえちゃん!?」

 中学の制服を着た結羅に駆け寄って、抱き締めてもらう。すると、さっきまでの恐怖感や孤独感がスッと消えていく。
 結羅のオーラは純粋な白色であたたかい。優しく包み込んでくれるので安心感がある。そのせいか霊力が満たされていく。
 女医の約束を守って、この赤色の数珠のことは話さなかった。しかし結羅と虎太郎は赤色の数珠にすぐに気づいたが。

「これ……誰に貰ったの?」
「ないしょ。やさしい、おいしゃのおねえちゃんからもらっただけだもん」

 プンッとバレないように横を向く茜。

「……お医者のお姉ちゃん?」

 結羅はチラッと虎太郎を見る。虎太郎は考え込む。

『なるほどな。それには害がないから付けていても問題ないだろう。むしろ今の茜には必要なもかもしれない』
「……そう? それならいいのだけど」

 結羅は心配しながらも、虎太郎がそう言うので、それ以上何も言わなかった。
 小児科の医師に説明を聞いたら帰っても大丈夫だと言われる。
 帰りの道中で虎太郎が、
『茜の場合は霊力の全てが目に宿る体質だ。必要以上にオーラで見てしまうから、霊力の消耗も激しい。そのために空腹になりやすく、体調を崩してしまうのだろう』
 と、言ってくる。それがお腹の空く原因だと。