確かに黒石神社のお守りは『願いが叶う』と話題になっていた。
『これを持ったら見違えるほど足が速くなった』とか『成績が上がった』など。どれも、いいことばかりが書いてある。
 中には『それを持ってから娘がおかしくなった』と書き込みがあったが、それは異常なほど叩かれていた。まるで心酔するようなタレコミだ。
 四神が祀っている神社のお守りは、ご利益はあるが、そんな異常なことは起きない。ましては呪詛など入ってはならないことだ。
 お守りの他にも特別な信者した貰えない、黒色の数珠などもある。これが世間に出回っているとしたら、数々の事件が起きるもっともの原因だろう。

「あの~これは危険ですので、こちらで処分してもよろしいでしょうか?」
「は、はい。お願いします」

 結羅は紗耶香から許可をもらうと、早速除霊にとりかかる。呪詛が入ったお守りの袋を神棚に置くと、九字護身法を唱え始める。

「臨兵闘者皆陳裂在前。悪しき呪詛を封印せよ」

 そうしたら呪詛が金色に輝き出して、黒い煙が出てくる。しばらくしたら消えて無くなっていく。
 結羅は除霊が終わると、紗耶香が居る方向を向いて、ニコッと微笑んだ。

「これで無事に除霊が出来ましたよ。お守りは普通のものに変わりましたが、持って帰られますか?」
「ありがとうございます。お守りは……不気味なので遠慮しておきます」
「では、こちらで供養しておきます」

 紗耶香は安心したようにホッと胸を撫で下ろし、初穂料と納めて帰って行った。
 帰ったのを確認すると、虎太郎と話をする結羅。

「最近になって事件が多いのは、これが出回っているからかしら?」
『まあ……間違いなくそうだろうな。結羅。これは気をつけた方がいい。人数が多いほど、厄介になる』