結羅は確認のために、紗耶香に手に入れた場所を聞いてみる。

「黒石神社です。最近ネットで有名だからと言って、私の分も買ってきてもらいました」

やっぱり、間違いないようだ。事の原因は、このお守りだろう。

「中を確認しても大丈夫ですか?」
「は、はい」

 結羅は確認の許可をもらうと、お守りの中を出してみる。そうしたら、呪詛のお札が一緒に入っていた。

「これが原因ですね。このお札は『呪詛』と言って呪いに使うものです。これで武藤さん自身を操っていたと思われます」
「呪い!? 何でそんなものがお守りに?」
「最近、そういう事件が多発していて。人を呪う以外にも操る効果があります。軽い呪詛だと頭痛や、めまいぐらいなので、気づかないのも仕方がありません。感情や精神を乗っ取るので」

 怖いのはその後だ。精神を乗っ取られた人は何をするか分からない。
 それよりも紗耶香がチラッと言っていた『ネットで有名』という発言だ。それは、どういう意味なのだろうか?

「ネットで有名とおっしゃっていましたが。それは、どのように有名なのですか?」
「えっと……ネットのSNSで『願いが叶うお守り』として流行っているみたいです。これを持っていたらご利益があったとか、どんな願い事が叶えて貰ったとか若い子中心に話題になっていました。そこから他の世代の人にも人気が出てきて」

 紗耶香はスマホを見せながら、そう言ってきた。結羅は、そのスマホの画面を見せてもらう。一緒に見ていた虎太郎は驚きながら声を上げる。

『これが世の中に出回っているのか!? これは厄介なことになるぞ!』