幸せな結婚生活が送れるなら、それは嬉しいことだが。現在は受験を控えている茜を守るのに精一杯だ。遠い未来よりも現実を見た方がいい。
 茜は姉の性格をよく知っている。どちらかと言えば控えめで自分を主張しない。
 優しく、純粋な白色のオーラは彼女を大きく輝かせていた。少し灰色のオーラは靄になってはいるが両親のせいで、本来は綺麗な色だ。
 白虎の後継者だから、余計にそうなのかもしれないが。結羅の元々の性格の良さが表れているのだろう。
 そんな結羅が強くこだわる契約結婚。そこに意志が伝わる。

(怪しいし、気に入らない。でも……1つ気になることがあるのよね)

 茜は心の中で思うことがあった。それは伊織から見えたオーラだ。
 強力な青色のオーラは青龍の当主だからだろう。しかし、微かに視えたピンク色。片隅にあったから見間違いかと茜は思ったが。
 今回の契約婚で、その可能性が否定は出来なくなってきた。

(いくら強い結び付けを欲しがっているとしても、結婚までする? 今の時代。どうしても従わせたかったら、別に弁護士を通して契約書を作るだけでも良かったのに。ピンク色は、恋愛かドキドキ。本人は気づいていないのかしら?)

 昔みたいに家同士や権力の結びつきを作るために政略結婚やお見合い結婚は多かった。今でもないわけではないが。
 それでも弁護士を通して、契約に背いた場合は罰金とかで縛り付けることも出来る。
 白石家は一般家庭。権力を振りかざせば大人しく従うしかないだろう。

「……分かったわ。向こうがその気なら受けて立とうじゃない。私も確かめたいことがあるし。上等よ」
『おい、許す気か!? 茜?』
「誰も許すとは言っていないわよ。あくまでも見極めようって話よ」

 虎太郎が心配してツッコミを入れるが、茜は違う意味で燃え上がっていた。とりあえず承諾はしてくれたようだが。