結羅は聞いていてゾッと背筋が凍るような気持ちになった。

(だとしたら、お母さんとお父さんが変わったのは……玄武が関係しているってこと?)

 そう考えた方が辻褄を合う。急に変わってしまった両親の性格。
 呪詛がかけられたのは間違いない。そこに人を操るだけの力が加わったとしたら、両親が豹変したのも納得がいく。
 真実が分かったが、結羅の気持ちは複雑なままだった。だとしたら、玄武の後継者に、その呪いを解いてもらわないといけない。
 それは危険と隣り合わせになる。相手は四神だ。簡単にはいかないだろう。

『ワシと結羅の力を貸せと言うことか?』
「はっ? 俺は人を信用していない。いつ裏切られるか分からないのに、同盟とか組めるか」

 虎太郎は協力を求めてくると思っていたが、伊織はそれを拒否する。結羅もその頼みごとだと思っていたので驚く。

『そのために来たのではないのか?』
「俺は約束事ではなく、契約にきたんだ。白虎の後継者は女性しかならないと聞いている。俺の後継者も男しかならない。だから後継者である白石結羅との結婚を申し込みにきた」
『はっ!?』

 伊織の突然の結婚の申し込みに虎太郎は驚いて口を開ける。もちろん結羅も、いきなりだったので内心は動揺を隠せない。

(えっ? 結婚……私が??)

 こんな綺麗な男性と結婚の話になるなんて誰が思うだろうか? それに結羅は、まだ大学生だ。
 協力なら、頼まれたら考えだろう。それなのに。