「今回に事件は同じ四神・玄武が祀っている黒石神社が関係している。そのせいで、朱雀を祀っている赤石神社の当主が現在行方不明になっている」
「えっ? 赤石神社の当主様が!?」

伊織の言葉に結羅は驚いてしまう。それは大変なことだ。
4つの神社はお互いに四神を守り、国の繫栄を願っていたはずだ。特別仲が良いわけではないけど、憎しみあっているとは聞いたことはなかったが。

『玄武とは……また驚きだな。そんな奴ではなかったはずだが? それは、もしかして黄龍を?』
「あぁ、そうだ。目的は黄龍を呼ぶ気だろう。『4つの四神の魂が揃うとき、黄龍が現れて永遠の命が手に入る』という古くからの言い伝えがある。現に俺の命も狙われてことはある。我々は個人の意志が強いため、揃うことや協力はしない。そのため命を奪ってから魂だけを手に入れる気だろう」

 何かを感じ取る虎太郎に対して伊織は冷静にそう言ってくる。
 結羅は、言い伝えだけなら聞いたことはあった。以前祖母が話してくれたことだ。
 しかし本当に黄龍を呼ぶ人は、今まで居なかったのに。どうして、そんな恐ろしい事を思いつくのだろうか?
 だとしたら、結羅の命を狙われる理由がはっきりした。そうしたら伊織は話を続ける。

「玄武の特殊能力は木と土を操るだけではなく呪詛をかけられる」
『しかし呪詛はかけても不死の病と、呪い殺すぐらいだろう? 正常の判断を失うことがあっても、人を操るとは聞いたことがないぞ?』
「そんなことは俺にも知らん。しかし現実にそれが出来ているから問題なんだ。それが分かった以上、我々も対処しないとならない。相手は現当主で、経歴も長い。阻止するためには、白虎の後継者が扱える除霊の協力が必要になってくるだろう」

 伊織と虎太郎の話し合いで凄い言葉が出てくる。玄武が持っている特殊能力だけでも厄介だろう。人の命を十分に殺すだけの力はある。しかし謎なことに、人を操るの力まで手に入れてしまったとしたら。