その後も、匠が看病してくれて順調良く茜は回復する。結羅も伊織は甲斐甲斐しく世話をしてくれたので歩けるようにまでになった。
 両親は何度もお見舞いに来てくれた。
 結羅と茜と再会が出来たのに,それから1週間後だった。車椅子に乗っている茜をギュッと抱き締め合って喜んだ。やっと平和に過ごせることが出来た。
 しかし、気になる点が。茜の能力だ。
 2人が揃った時に虎太郎が話してくれた、茜の目に霊力を溜めやすい体質ではある。
 それには、もう1つ理由があった。
 茜は『百眼』の能力を持っていたのだ。目にいくつかの能力を持って産まれたらしい。

『茜は霊力を目に溜めやすいのは、そのせいでもあったのだ。きちんと能力のコントロールが出来るようになれば『千里眼』や今回使ったような能力が扱えるようになれるだろう』

 まさか妹にそんな力があったとは知らなかった。結羅すら聞いていないことだった。

「どうして私には教えてくれなかったの?」
『結羅に教えたら、余計に心配するからな。それに、まだ能力は目覚めていなかったし、わざわざ教える必要もなかった。どのみち今の茜の霊力では開花するのには不可能だった』

 虎太郎は、茜の霊力の状況から開花するのは不可能だと判断したらしい。
 それもそのはずだ。茜の霊力は、ほとんどオーラを見るのに使われていたからだ。
 普段から見られるせいで霊力が足りなく、補充が出来ない。そのため結羅が常に霊力を分けてあげている。

『あ奴らが、どうやってそれを知ったか分からないが、今回は赤色の数珠。朱雀の『コントロール能力』があったから、我が白色の数珠と合わさって、霊力を増幅することが出来たのだろう。そのお陰で上手く開花が出来たようだ』
「つまりは……茜の能力を目覚めさせるには、結羅の霊力が必要だったってことか?」