「ありがとうございます。助けて下さって」
「……俺は何もしていない。全て君のお陰だ。あと……妹のな」
「そ、その……茜はどうしたのですか? 無事ですか!?」

 結羅は慌てて茜の状況を確認する。妹も体がボロボロで傷だらけだった。
 それに同じように呪詛の効果が切れたのだろうか? 精神的にも大丈夫なのだろうか??
 居ても立っても居られなくてベッドから出ようとする。伊織は慌てて結羅を抱き締めるようにして止めた。

「まだ、傷が癒えていないんだ!? 無理に動くな」
「で、でも……茜が」

 そうしたら結羅の顔を見ると、クスッと笑ってきた。険しい表情と違い、少し困ったような優しい表情を向けてくれる。

「心配するな、妹の茜は無事だ。今、匠が様子を見に行ってくれている」
「本当ですか!?」
「ああ、君と同じで擦り傷はしたが、命は別状ない。まぁ、霊力の使い過ぎで目は一時的に見えていないが。霊力が溜まれば、また見えるようになる」
「……そうですか」

 自分と違って、目が一時的に見えなくなってしまったようだ。それでも命の別状がないのなら良かった。
 元に戻ると聞いて、ホッと胸を撫でおろした。
 茜は匠と一緒に居るのなら安心だろう。彼は、茜を大切に守ってくれるからだ。
 すると、伊織はまた結羅をギュッと抱き締めてくる。

「しかし良かった。君が無事で」
「……伊織さん」
「倒れた時も、君がどうにかなるのではないかと思って……寿命が縮む思いをした。もう……何処にも行くな。俺の傍に居ろ」