「茜!? 大丈夫?」
「いた~い、お姉ちゃん」

 目尻に涙を溜めながら、うるうるさせていた。必死に手を伸ばしてくる茜に、結羅は動揺しながらも手を伸ばしそうになった。

『バカ。あれは罠だ!』

 ハッと我に返り、手を引っ込める結羅。そうしたら茜は舌打ちをしながらも、ナイフを一振りしてきた。
 咄嗟に後ろに下がったため、ギリギリのところで避けられた。しかし茜は構わずに態勢を直すとナイフを振り続ける。本気で殺すつもりだ。
 結羅は虎太郎の力を借りて結界を張る。

「茜、やめて」
「うるさい。さっさと死ね!」

 それでも結界に向けてナイフを振り回してぶつけてくる。
 結界にぶつかりバチバチと火花が飛ぶ。そのせいで茜の身体の方がボロボロになってしまう。

「お願い、やめて。茜!?」
「うるさい、うるさい」

 ガンッと結界にぶつかった瞬間、小さなヒビが入り始めた。

『くっ……霊力が暴走を始めているな!?』

 虎太郎が茜の霊力が暴走し始めていることに気づく。
 普段は目に霊力を溜めているため、一定している体質。それを無理やり、霊力を使おうとしているからコントロールが効かないのだろう。
 このままだと、茜の身体の方が壊れてしまう。

「茜!?」

 しかし茜のぶつけたことで結界が粉々に砕けてしまう。その反動で、お互いは弾き飛ばされる。傷だらけになってしまった。