「いい子ちゃんぶりっ子っ言うの? 自分は後継者だからって、何気にマウントを取ってきて、マジウザい。別に対して、凄くもないのにさ~」

 彼女の言葉に一瞬頭が真っ白になってしまう結羅。
 それは、まるで妹の心の中を語っているように聞こえてきてしまう。

「どうせ、陰で私をバカにしているのだろうけど、お姉ちゃんの方がバカだからね? 頭も大して良くないし、容姿もブス。地味で、要領すら悪い。それで私の姉だと思うと本当に恥ずかしいわ」

 心のない言葉が結羅の傷口をえぐるようだった。自分のコンプレックスを妹の口から聞かされるなんて。
 手足がガタガタと震えて、思わずよろけそうになる。
 鼓動がバクバクと速くなっていく。

『結羅。しっかりしろ!? あれは、まやかしに過ぎない。茜が言ったことではない』

 虎太郎の声で、ハッと我に返る結羅。
 危うく騙されるところだった。鵺の能力のせいで操られているだけだ。
 結羅はグッと歯を食いしばって耐えると、いつの間にか結羅の周りにまとわりついていた黒い霧が消え去った。
 これで結羅自身まで操ろうとしていたのだろう。
 そうしたら、チッと舌打ちをする茜。

「あ~残念。もう少しで上手くいきそうだったのに」

 残念そうに柳木の首に腕を絡ませて、寄り添う。そうしたら柳木はクスッと笑う。

「いつまで遊んでないで、目的のものを早く手に入れてきなさい」
「は~い。ねぇ、柳木様。もし私が手に入れたら、ご褒美を下さる?」
「あ~いいだろう。お前の好きなものを与えよう」
「やった~」

 茜は柳木におねだりすると、柳木はそれを受け入れる
 そして、そのまま彼から離れて結羅に近づいてきた。