契約結婚した白虎の姫巫女

 心臓まで繋がった呪詛は除霊されると、効果が切れる代わりに命を落とす。
 それは野々華の死を意味していることになる。
 だが、本当に死なせたかったわけではない。ほんの少しでも、彼女に意識があれば、そこまでするつもりはなかった。
 しかし、ここまで追い詰められた以上は、決断を下すしかなかった。結羅は薄々こうなることは分かっていた。ただ最後の望みをかけたかったのだ。
 お札は金色に輝きを増すと、そのまま野々華は倒れ込んだ。鵺は除霊される前に早々と逃げ出してしまったが。
 そのせいもあってか、招待客達もバタバタと倒れてしまった。野々華を通して操っていたのだろう。
 結羅は慌てて野々華を抱きかかえる。

「今、霊力を分けてあげるから」

 助かるのは難しくても、少しの霊力があれば数分だけでも意識を取り戻せるはずだ。
 正気を取り戻した野々華は虫の息ではあったが、うっすらと意識を取り戻し、目を開ける。

「野々華ちゃん!? 私が分かる? 結羅だよ」
「……結羅」

 かすれた声ではあったが、結羅だと認識する。すると野々華の目尻に涙がこぼれて頬を伝った。

「……会えて良かった。あの時は……ごめんね。……逃げて。本当は……ずっと謝りたかった」
「野々華ちゃん」
「周りに騒がれて……怖くて、一緒に……避けてしまった。あれから……後悔していたの。私にとって……結羅は親友だったのに」

 やっと野々華の本心を聞くことが出来た。噓偽りない言葉は、結羅に対しての謝罪だった。彼女もまた後悔していた。逃げ出して、避けたことに。