ブツブツと文句を言いながら外に出て行ってしまった。
 母親も大きなため息を吐いてくる。そしてギロッと結羅を睨みつけてきた。

「はぁっ~まったく。お姉ちゃんのせいで私まで責められるじゃないの。しっかりしてよね? 妹が非行に走ったら、どうするのよ」

 今回のことも姉である結羅のせいにされてしまった。
 自分は悪くない。妹の責任は姉の責任。それが我が家の暗黙のルールになっている。
 母親もそれだけ言うと、何処かに出かけてしまった。そんな気分ではないと言いながら。
 茜は母親を出た瞬間、キッ~と奇声みたいな声を上げると結羅に抱きつく。

「お姉ちゃん。あいつら、ムカつく。もう、嫌っ」
「よしよし。そんなことを言ったらダメよ。ねっ? 今日は茜の誕生日なんだし」
「でも~」
「さあ、こんなことは忘れて誕生祝いパーティーをしましょう。お姉ちゃんが特製ケーキを作ってあげるから。ご馳走も、茜の大好きなものばかりよ」
「……お姉ちゃん」

 今日は茜の14歳の誕生日だ。嫌な気持ちのまま迎えるわけにはいかない。
 それに、これぐらいで済んだのならいい。下手したら茜にまで被害が及ぶ。
 それぐらい呪詛は恐怖を与える。
 結羅は可愛い妹のためにバースデーケーキを作る。苺をたっぷり使うつもりだ。
 料理とお菓子作りは唯一得意なことなので気合が入る。
 茜も機嫌が直ったのか、生クリームをハンドミキサ―で混ぜるのを手伝ってくれる。
 すると混ぜながら、こんなことを言ってくる。

「そうだ。今度の日曜日に一緒にショッピングに行こうよ! お姉ちゃんの5千円と私の1万なら、1人6千円の買い物をして。残りの3千円で美味しいものでも食べよう。それなら平等じゃん」