この日本では多くの神が祀られている。その中でも四つの神社は古くから有名だった。
 四神である白虎が祀られている白石神社。青龍が祀られている青石神社。
 朱雀が祀られている赤石神社。そして玄武が祀られているのが黒石神社。その血をひく者は後継者として、また当主として不思議な能力を手に入れる。
 その中でも白石神社は女性しか霊力が授からなかった。
 現在では祖母と叔母の他に次期後継者の白石結羅(しらいし ゆら)が守っている。
 白虎の能力とは除霊。呪詛や悪い霊を取り除き、浄化することが出来る。他の四神もそれぞれに合った能力を持っている。
 それに選ばれるのは栄光とされ、日本を守ってきた。しかし時は流れ、その能力は時代によって変化する。

 日が暮れる頃。犯人の男は必死に逃げていた。それを追いかけるのは、白色の毛並みをした四神・白虎。

「うわあっ~!?」
『ようやく掴まえたぞ。観念しろ』
「や、やめてくれ。バケモノ!?」

 トラぐらいのサイズはある大きな身体を使って、犯人に圧し掛かった。フサフサの毛並みをなびかせて、金色の目でギロッと睨みつける。
 鋭い牙と爪は、恐怖を与えるには十分だろう。

『やめてくれだと? 放火犯のくせに、よくそういうことが言えたものだ』
「やめろ、やめてくれ。俺は悪くない、離せ」

 そう言って、まだ暴れて逃げようとする。この状況でも逃げられると思っているのだろうか。