薬部の医師が、慎重に私の脈を取り終え、顔を上げる。

「……月のモノも来ていない、吐き気、そしてこの脈拍の乱れ。すべてが整っています。ご懐妊とみて、よろしいかと存じます。」

その言葉に、私は目を丸くしたあと、すぐに隣の景文を見た。

「……本当に? 私……」

景文も一瞬目を見開いたが、次の瞬間、ぱっと笑顔を咲かせた。

「そうか……! 翠蘭……俺たちの子が……!」

「うん……!」

思わず二人で顔を見合わせ、ぱちん、と手を打ち合わせる。

拍手をするというより、気持ちが溢れて自然と重なった、そんな喜びの音だった。

「俺も、父親になるのか……」

景文の声には、喜びと戸惑い、そして何より深い感慨がこもっていた。

すると――その様子を襖の外でこっそり見ていた王景殿が、思わず中に入ってきた。

「……よかった! よかったぞ、景文!」

そう言って、彼はまっすぐ景文の元へ歩み寄り、その肩を強く叩いた。