桃源郷の庭で子供たちを見送りながら、景文が空を仰ぐ。

「たくさんの子供を見ると、楽しくなるんだ。……王景殿も、母との間に子は設けなかった。表向きは夫婦でもなかったからね。」

「そう……」

胸がきゅっとする。

堂々と下賜を願い出るべきだ、と言ってくれた王景殿――

あの方もきっと、陛下の妃だった景文の母君を、誰より大切に想していたのだろう。

けれど“持てない愛”は、口に出せないままだった。

私はそっと景文の腕に手を添えた。

「それなら……私は、早く子供を産まなくては。」

思わず口にして、自分で笑ってしまう。胸の奥から、ふっと灯りがともるみたいにやる気が湧いてきた。

「ふふ、俄然やる気が出てきたわ。」

景文がこちらを向く。目じりがやわらかく下がる。

「……多くを頼むよ。」

「ええ、多めにね。」

からかうと、景文は照れたように視線をそらした。