その声はどこまでも甘く、けれど冗談めかしていて、思わず私は吹き出してしまった。

「うふふ……そんな風に言われたら、待ち遠しくなっちゃう。」

「そりゃ困るな。俺の理性がもたない。」

そう言って、景文は頬にキスを落とす。

その温もりに心が満たされていく。

そして私は机に向かい、弟たちへの手紙を書いた。

《金子の用立ての都合ができました。あなた達も勉学に励むように。》

筆を置いたとき、自然と笑みがこぼれていた。

「弟達もきっと喜ぶわ。」

景文がその様子を見て、私の隣に座った。

「よかったな。これで王都に来た理由も達成だ。」

「うん。」

思えば、すべては弟たちを救うために後宮入りを決めた。けれど、今は――

「それに加えて、大事な人までできた。」

そう言った私に、景文は驚いたように目を見開いたあと、少し照れたように微笑んだ。

「そなたは……俺の光だな。」

「ふふ、それはこっちの言葉です。」

静かで、穏やかで、満ち足りた夜だった。