そして、その身を深々と膝まづかせる。

「この上なき、光栄にございます。」

そして、皇帝は私を見た。まっすぐに。

「――そして、翠蘭。」

呼ばれた瞬間、私は胸が高鳴るのを感じながら一歩前に進んだ。

「はい。」

視線が合う。あの冷たかった皇帝の眼差しが、今はどこか、温かさを帯びていた。

「そなたを、第四皇子・景文の妃として、下賜する。」

涙が、堪えきれず溢れた。

こみあげる想いを抱えたまま、私は深く頭を垂れる。

「……皇帝陛下。ありがとうございます……。」

涙が床に滴る音が、やけに大きく響いた。

すると、玉座の一角――景文の後ろに控えていた王景殿が、ふいに膝をつき、顔を覆って泣き崩れた。

それは、厳しくも誇り高い父が、初めて見せる無防備な姿だった。

「……王景殿。」

景文が、静かに歩み寄り、その肩にそっと手を置いた。

「今まで育ててくださったご恩……必ず、お返しします。」