「皇帝陛下に拝謁し、**“翠蘭殿の下賜を願い出る”**のです。」

私は、言葉を失ったまま、景文の横顔を見つめた。

その横顔には、かつて見たことのない決意が宿っていた。

――これが、運命を変える瞬間になるのかもしれない。

静かに、けれど確かに、私の胸の奥で何かが震えていた。


そして私達は、皇帝陛下との謁見を許された。

「まずは、謁見のお許し、ありがとうございます。」

景文は深く頭を下げ、床に額をつけた。

広間は、まるで息を呑むような静けさに包まれていた。

首元の刺青が、はっきりと見えるようになったのは、景文が自ら髪を短く切ったからだ。

その印は、皇族にのみ刻まれるという“鳳印”。

一目見ただけで、それが皇帝の血を引く者の証であることが分かった。

「……あれは、まさか……」

「皇帝の……落胤……?」