お飾りの妃をやめたら、文官様の溺愛が始まりました

呼び止めたのは、四賢妃の一人、臨光(りんこう)様だった。

艶やかな衣の裾が揺れる。

その瞳に映る私の姿は、きっと哀れでちっぽけなものだっただろう。

「翠蘭様。」

その声に振り向くと、そこには見覚えのある顔があった。

臨光(りんこう)様――

二年前の妃募集で、ともに選ばれた“仲間”だった。

「臨光様……」

彼女は微笑んだ。

けれどその身には、かつてとは違う徳妃の衣がよく映えていた。

「どう? 皇帝のご寵愛は」

「……ううん。全くよ」

私は、苦笑いを浮かべて答える。

強がるように、でも本音が滲むように。

臨光様はふっと目を伏せ、囁くように言った。

「私も、実は三度だけなのよ。お呼びがあったの」

「えっ……」

驚いた。

妃として、それだけの回数で男子を授かったというのか。

「運がよかったのね、たぶん。」

臨光様はさらりと言った。