湯上がりの髪を手ぬぐいで押さえながら廊下をうろうろしていると、ちょうど同じく湯から出てきた景文と鉢合わせた。

「……どうした?」

濡れた髪を無造作に結い上げた彼は、薄い浴衣姿で、湯気のように落ち着いた雰囲気だった。

「……ああ、その。」

私は気まずそうに笑って、視線を逸らす。

「どこで寝たらいいのか分からなくて」

言った瞬間、頬がほんのり熱くなる。

すると景文は無言でこちらを見つめ、ふと身を翻し、自分の寝所の扉をそっと開けた。

「寝所はここだが?」

景文が開けた寝所の扉の向こうには、見覚えのある寝台が静かに佇んでいた。

私は一歩、後ずさった。

「こ、ここって……あなたの寝所でしょう?」

「――そなたの寝所でもある。」

そのまっすぐな返答に、頬が一気に熱を帯びた。

「だ、だって……」

思わずもじもじと足を動かしてしまう。

「夫婦でもない男女が、一緒に寝るなんて……」

言い終えるか終えないかのうちに――