夜、景文が仕事から戻った。
玄関で出迎えた私を見て、彼はなぜかきょとんとした顔をしていた。
「……どうした?」
「……その。」
私は少しだけ視線を逸らしてから言った。
「ここに、置いてってくれるって言ったけど……私の意思で置いてもらいたいの。」
景文は数秒の沈黙のあと、ふっと笑った。
「……ああ。」
その短い返事に、全部わかってると言われたような気がして、私は胸の奥が少しだけあたたかくなるのを感じた。
そのままふたりで、いつもの食事処へ。
座って膳を並べていると、景文がふと話題を切り出した。
「そういえば、翠蘭がいなくなった件だけどな。」
「……う、うん。」
急に現実に引き戻される。
後宮では、さぞ大騒ぎになっているはず――そう思っていた。
「――あっけなく、行方不明で終わった。」
「……えっ⁉」
思わず声が上ずる。
「……ただの、行方不明⁉」
玄関で出迎えた私を見て、彼はなぜかきょとんとした顔をしていた。
「……どうした?」
「……その。」
私は少しだけ視線を逸らしてから言った。
「ここに、置いてってくれるって言ったけど……私の意思で置いてもらいたいの。」
景文は数秒の沈黙のあと、ふっと笑った。
「……ああ。」
その短い返事に、全部わかってると言われたような気がして、私は胸の奥が少しだけあたたかくなるのを感じた。
そのままふたりで、いつもの食事処へ。
座って膳を並べていると、景文がふと話題を切り出した。
「そういえば、翠蘭がいなくなった件だけどな。」
「……う、うん。」
急に現実に引き戻される。
後宮では、さぞ大騒ぎになっているはず――そう思っていた。
「――あっけなく、行方不明で終わった。」
「……えっ⁉」
思わず声が上ずる。
「……ただの、行方不明⁉」



