その声があまりにも落ち着いていて、逆に、胸に冷たいものが走る。

「どういうこと……?」

「一度、宮殿を抜け出した妃は、他の男に抱かれたものとして処理される。形式上でも、実際がどうであっても――関係ない。」

「……っ!」

「もし戻れば、そなたは冷宮行きだ。」

「冷宮……⁉」

私は思わず、息を呑んだ。

冷宮――
それは表向きには“静養”や“謹慎”とされる場所。

だが、実際には使い古された妃たちや処分対象となった女たちが送り込まれ、**宦官や役人たちに弄ばれる“生きた地獄”**だと噂されていた。

「そんな……」

脚から力が抜けた。

けれど、そんな私の肩をそっと抱いて、景文が言った。

「だったら――このまま俺と一緒に生きないか。」

「……!」

その言葉は、優しくも重く、まるで世界から許しを乞うことなく差し出された光のようだった。