私は、もうひとつ気になっていたことを問いかけた。

「……あなたの屋敷にいたと分かれば、あなたはどうなるの?」

景文は、粥椀をそっと膳に戻した。

それから、いつになく冷静な口調で言った。

「皇帝の妃に手を付けたとされれば――打ち首、だろうな。」

心臓がひゅっと縮んだ気がした。

あまりにあっけなく、けれど冗談めかしていない。

本当にその覚悟をしている声だった。

私は何も言えなかった。

自分のわがままのために、彼が命を賭けている現実を、ようやく思い知った。

静かな朝の膳を前にして、私はついに、自分のしでかしたことの重さに気づいた。

「……私、今日帰るわ。」

口に出した瞬間、声が震えた。

「あなたが、そんな目に遭うなんて……耐えられないもの。」

皇帝の妃である私を庇ったことで、もし景文が“打ち首”なんてことになれば――
きっと私は、一生後悔する。