お飾りの妃をやめたら、文官様の溺愛が始まりました

「三年が経っても、ご寵愛を受けられぬ妃は、実家に戻されると……そう、聞きました。」

皇帝は眉をひそめた。

「……なに? そんな規定が……?」

どうやら、本当に知らなかったらしい。

「それでは、せっかく迎えた意味がないではないか。」

そう言う陛下の言葉に、胸がざわついた。

「――ならば、翠蘭。」

その声に、私はゆっくりと顔を上げた。

「今夜、一夜限りでも、朕の寝所に来ないか。」

「……え。」

目が見開かれるのが自分でも分かった。

今夜――?

しかも、一晩だけ――⁉

胸の奥が、強く波打つ。

「朕も、今夜はそなただけを見るように、努めよう。」

そう言って、陛下は私の肩にそっと手を置いた。

そして、それ以上何も言わずに背を向けた。

金の刺繍があしらわれた裾が、風に揺れる。

そのまま静かに去っていく、皇帝の背中を――

私はただ、動けずに見送ることしかできなかった。

「……あ……」

ぽたり、と。

熱いものが、頬を伝った。