お飾りの妃をやめたら、文官様の溺愛が始まりました

私は、陛下が言わんとしていることを理解した。

それがどれだけ、口にしがたいことかも。

「……汚したくないのですね。」

私が小さくそう言うと、皇帝は目を伏せた。

「……」

私を抱けば、きっと母君を犯すような錯覚に陥る。

それは罪悪に近く、抗えぬ嫌悪感さえ生んでしまうのだろう。

その気持ちは、理解できる。

けれど、心のどこかが、じんわりと痛んだ。

私は誰かの面影でしかなく、

“妃”でありながら、“女”として見られることすらなかったのだと。

けれど。

その理由を、自らの口で私に伝えようとした皇帝のまなざしには、確かに、偽りのない誠実さがあった。

「……では私は、実家に帰される日をただ待つしかないのですね。」

そう言った私の声は、少しだけ震えていた。

皇帝陛下が足を止める。

「はあ? 実家に……帰す?」

その表情には、明らかに困惑が浮かんでいた。