お飾りの妃をやめたら、文官様の溺愛が始まりました

それは、言わずもがなの事実だった。

けれど、陛下の口から聞かされると、心がきしんだ。

「それには、理由がある。」

「……!」

足が止まりそうになった。

理由。

私が二年間、ただの“飾り”として扱われてきた理由。

それを、いま、知ることができるのだろうか。

私は息をのんで、皇帝の横顔を見つめた。

その瞳はどこか、遠い過去を見ているようだった。

「――そなたは、朕の母君に似すぎているのだ。」

「……えっ?」

あまりに意外な言葉に、私は思わず立ち止まった。

「母君……に?」

皇帝は遠くを見つめるように、小さく頷いた。

「顔立ちも、雰囲気も……それに、名前も似ていた。」

私は自然と視線を落とした。

あの、優しかった母の面影を、私がなぞっているというのか。

「後宮でも、何人かに言われた。母君にそっくりな妃がいると――だが、あまりに似すぎていてな……」

言葉の終わりが、少しだけ震えていた。