「この映像をご覧ください」
有栖川玲の合図とともに、巨大スクリーンが静かに点灯し、かすかなノイズ音とともに一つの映像が始まった。そこには、LAPISの内部と思われる空間が映し出されていた。無機質な壁。無人のカプセル。そして、ホログラムのような光の輪が幾重にも重なる中央制御台。
《Revelation system standby. Awaiting subject authorization…》
女性の電子音声が淡々と響く。美佳の背筋に、冷たいものが走った。
「LAPISが進めている再構築プログラム……それを、我々は“啓示計画(プロジェクト・レヴェレーション)”と呼んでいます」
玲の声は、まるでプレゼンのように滑らかだった。けれども、その内容は、すべての出席者にとって非現実的で、そして危険に満ちていた。
「藍都学園都市に点在する複数の実験施設で、選ばれた“適合者”による意識・記憶の統合実験が進行中です。目的はただ一つ。世界の分断を超え、究極のシンクロナイズを実現すること」
ざわつく会場。困惑と不安、そして一部には興奮すら見えた。誰もが理解していた。この“裏同窓会”は、ただの再会の場ではない。“選抜”の場だったのだと。
「このプロジェクトに賛同する方は、席に残ってください。拒否する方は、右奥のドアより退出を——」
言い終えるより早く、数人が立ち上がり、右奥のドアへと向かった。けれど——。
ガシャ。
ドアは、開かなかった。エラー音。赤く点滅するセンサー。係員すらいない。
「な……何これ、開かないじゃない!」
「嘘だろ!? 戻れないのか!?」
美佳も立ち上がろうとしたその時、隣の純が彼女の手をそっと掴んだ。
「美佳……見ろ。これは最初から、退席など許されない“儀式”だ」
映像が切り替わる。画面には、参加者それぞれの顔写真と識別番号が表示され、画面右下には“Synchronization Index”と記されたバーが伸びていく。
「選ばれてしまった……私たち、全員」
美佳の胸が締め付けられる。これは再構築でも、実験でもない。“支配”だ。意識の、記憶の、存在の——。
「……もう、戻れないの?」
美佳の問いに、玲が静かに頷いた。
「そう。これは、新しい“自我”の夜明けです。ようこそ、プロジェクト・レヴェレーションへ」
有栖川玲の合図とともに、巨大スクリーンが静かに点灯し、かすかなノイズ音とともに一つの映像が始まった。そこには、LAPISの内部と思われる空間が映し出されていた。無機質な壁。無人のカプセル。そして、ホログラムのような光の輪が幾重にも重なる中央制御台。
《Revelation system standby. Awaiting subject authorization…》
女性の電子音声が淡々と響く。美佳の背筋に、冷たいものが走った。
「LAPISが進めている再構築プログラム……それを、我々は“啓示計画(プロジェクト・レヴェレーション)”と呼んでいます」
玲の声は、まるでプレゼンのように滑らかだった。けれども、その内容は、すべての出席者にとって非現実的で、そして危険に満ちていた。
「藍都学園都市に点在する複数の実験施設で、選ばれた“適合者”による意識・記憶の統合実験が進行中です。目的はただ一つ。世界の分断を超え、究極のシンクロナイズを実現すること」
ざわつく会場。困惑と不安、そして一部には興奮すら見えた。誰もが理解していた。この“裏同窓会”は、ただの再会の場ではない。“選抜”の場だったのだと。
「このプロジェクトに賛同する方は、席に残ってください。拒否する方は、右奥のドアより退出を——」
言い終えるより早く、数人が立ち上がり、右奥のドアへと向かった。けれど——。
ガシャ。
ドアは、開かなかった。エラー音。赤く点滅するセンサー。係員すらいない。
「な……何これ、開かないじゃない!」
「嘘だろ!? 戻れないのか!?」
美佳も立ち上がろうとしたその時、隣の純が彼女の手をそっと掴んだ。
「美佳……見ろ。これは最初から、退席など許されない“儀式”だ」
映像が切り替わる。画面には、参加者それぞれの顔写真と識別番号が表示され、画面右下には“Synchronization Index”と記されたバーが伸びていく。
「選ばれてしまった……私たち、全員」
美佳の胸が締め付けられる。これは再構築でも、実験でもない。“支配”だ。意識の、記憶の、存在の——。
「……もう、戻れないの?」
美佳の問いに、玲が静かに頷いた。
「そう。これは、新しい“自我”の夜明けです。ようこそ、プロジェクト・レヴェレーションへ」



