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1、泣いた夏を詰め合わせて
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☆はしゃぎすぎたね
お互いにはしゃぎすぎたね。
お互いに冗談を言い合って、
くだらないことを無限に言い合ったのに、
飽きてしまったら、さよならなんて、
あっけないよね。
さよなら。
君のことなんて責めないよ。
思い出はあの日、一緒に見た
波と波の間のキラキラと同じくらい輝いているから。
☆君が旅立ってから、また不安定
「嫌なことなんて吹き飛ばしてあげる」
君がそう言った土曜日から、私の心は軽くなった。
そこから一年間は、私の不安定さを理解して、
バランスをとってくれたよね。
不安定、安定、不安定、そして安定。
そんな君の存在を突然失った私は、
一気に不安定に飲み込まれてしまった。
☆夏を忘れた夢
夏を忘れて、
急に吹き始めた秋風みたいに、
君との恋は、ひと夏の夢だった。
☆愛の言葉を紡いでも難しい
愛の言葉を紡ぐのなんて、
とても簡単なことだよね。
だけどさ、
そのまま楽しさと誠実さを示すことなんて、
ありきたりな恋愛のなかでは、
難しいのかもしれないね。
☆蛙化することに勇気はいらない
蛙化することは、
切ないことだと思うけど、
お互いに恋の魔法にかかっていただけだね。
君から切り出した別れ話は、
きっと勇気すら必要なかったと思うんだ。
だって、お互いに蛙化してたんでしょ?
君の冷たさに気がついていたから。
☆雨の電話ボックスで聞きたかった
雨の電話ボックスのなかで、
緑色の受話器を握ったまま、
君の言葉で涙するような、
クラシカルな別れ方がしたかった。
せめて通話くらいしてよ。
メッセージだけで「別れよう」は、
あっけないから。
☆イライラは悪い棘
苛立つ言葉は棘でしかないし、
悪い言葉ばかり並べるのは、
思いやりがないよね。
そんな君の言葉に嫌気がさしただけだよ。
☆さよなら、エモーショナル
もうさ、感傷的になることすら、
なんだか、古臭い気がするんだ。
時代は無条件に進んでいくし、
戻りたい地点はただ、いたずらに遠くなるだけだから。
メタリックな2030年に向かうために、
もう、さよならしなくちゃね。
☆恋心を形成した推しが過去に流されても
小さな頃、大好きだったYouTubeの動画の投稿日が、
『10年前』『20年前』になっても、
恋心を形成してくれた推しのことは忘れないよ。
☆暗黒氷河期が来たとしても
どんなに真っ暗の底に雪が降り続ける時代になっても、
君がふとしたときに、見せてくれた笑顔を忘れたくない。
☆どんなに叩かれて、愛想つかされてもいいよ。
自己開示を叩かれ、
自己表現を笑われ、
もう、無意味だって思っても、
それでも夢を見続けいたい。
夢を夢のまま、終わらせたくないから。
☆優しさと愛
優しさと愛さえあれば、十分なんだ。
大きな平和を祈るなら、
まず、周りに優しくするのが第一歩のはずだから。
☆君と離れ離れ
生まれた瞬間から、
君と離れ離れになった気がしていて、
君に出会うまでは心にぽっかりと穴が空いたままだったよ。
だから、君という存在は、ものすごく大きいんだ。
☆一等星の子
ほら、星を見つめてよ。
きっと、僕たちの生まれ故郷は、
あの一等星のはずだから。
そんなフィクションを繰り返すことで、
くだらなくて、退屈な日常が、
鮮やかになるなら、最高だね。
☆君の心を開くことができなかった
どんなに君のことを思っていても、
君は一向に心を開いてくれなかったね。
君の過去はわからないけど、
その過去の傷なんて、
僕の前では克服してほしかった。
僕は君のことを見続けていたのに。
☆寂れた街と海と君
ラブストーリーを忠実にこなすことすらできなかったね。
あの日も、このなにもない寂れた街だから、
ぼんやりと海を眺めることしかできなかったんだ。
退屈な日常と、憧れる夢のギャップで、
お互いに夢に向かって、歩き始めたら、
共通点は、寂れた街の海を一緒に眺めたことしかなくなってしまっていたんだ。
あのときは、もっと、大切な思いを抱いていると
思い込んでいたけど、それはラブストーリーの夢に過ぎなかったね。
☆最初はそう思ってなかった
大体、一緒だと思っていたし、
大体、最高だと思っていたけど、
大体、こういう始まりの恋愛って、
大体、すぐに終わるかと思っていたのに、
なぜか君は特別な人になった。
☆君は時代錯誤
限界を越えてしまえば、
あとは下り坂で楽になるはずだから、
ずっと、頑張れるっていう君は、強すぎるし、
時代にすら合ってないよ。
だけど、応援したくなるし、
羨ましく思えるのはどうしてだろう。
☆綺麗に華麗に
生きる終点は死ぬことだけど、
それまでどうやって、
人生を美しくメイクするかってことでしょ。
そう考えたら、今の悩みすら、
可愛く思えない?
だから、今を美しく作り上げるよ。
☆スランプに負けたくない
もう、スランプすぎて、
自分の気持ちもわからなくて、
ノートにすら書けないくらい言葉が見つからなくても、
ひとつだけ言えることはある。
未来は絶対、明るいんだ。
夜明け前が一番暗いから。
☆イエローゴールドを輝かせたままいたい
「スリコで買ったんだ」と、
さっき君が言った、
イエローゴールドのピンキーリングが、
午後の黄色い日差しで、キラリとしたとき、
この恋を夏で終わらせたくないと、強く思った。
☆プチプラコスメと多少のデパコス
プチプラと多少背伸びしたデパコスで、
自分をメイクアップする朝、
会った瞬間の君の反応が、
最高だったらいいなって思いながら、
アイライナーのキャップをぱちんとしめた。
☆君が気がついていない優しさ
優しさは素敵なことだけど、
それは劇薬になることもあるってことを、
君は気がついたほうがいいよ。
それだけ、君の優しさは最高なんだから。
☆聞きたいことや、話したいこと
聞きたいことや、話したいことは、
もう、すべて話してしまったのかな。
そんなことを考えながら、
もしかしすると、もう、話すことはない、
君が告げている別れ話を頬杖をつきながら、
ぼんやりと実感がないまま聞いていた。
☆君は明るさを切なくする天才だ
赤いリッケンバッカーで、
君が切なく弾いている曲は、
TikTokで流れたアイドルの曲で、
少し聴き飽き始めた曲だった。
かわいい曲を切なくして、笑いながら歌う君に
「バカみたい」って、おどけて告げると、
君は「いいでしょ」と得意げにそう告げた。
☆執着も、嫉妬も
思ったより、嫉妬が深すぎて、
そんな自分に、嫌気がさしてしまうけど、
執着も、嫉妬も、すべて塞いでしまって、
今日も君が私に振り向いてくれることを、
そっと星に願う。
☆君が離れないようにしていた
君の気持ちが離れないように、
君をもっと知ろうとしたり、
君に認められる行動ばかりしていたけど、
君は振り向いてくれなかった。
そんな涙を、いつかほろ苦い過去として、
笑い飛ばせたらいいね。
☆真夏のスノードーム
現実を見れば見るほど、落ち込んだままだよ。
だからって、わけじゃないけど、
気持ちいい真夏を
雪が舞うスノードームに保存してしまうくらい、
この夏を人生のなかで印象的にしたい。
☆敵に仕立て上げられてもいいよ
一方的に嫉妬を相手から向けられ、
敵のように自分が扱われても、
折れる気なんてないよ。
だって、まだ見たことない光を、
もっと、見てみたいじゃん。
☆君は塞ぎ込んだままだ
寄り添おうとしたって、
どうせ、それを振り払うんでしょ?
ねえ、こっちだって見てよ。
同じような過去の傷を持っているから、
君を見続けたいと思っただけなのに。
☆取り戻すことなんて、もう何もできない
取り戻すことなんて、もう何もできない。
そんな事実に息をすることすら、
嫌になるくらいだけど、
時は平等に流れ続けているんだよね。
だったら、もう、君のことなんて、
忘れてしまって、前を向くよ。
そう、頭のなかではわかっていても、
まだ、君を切り離すことなんてできないよ。
☆カフェインで孤独を弱めたい
人間関係すら上手くいかないし、
ひとりぼっちみたいで、いつも孤独で、
人気になれるような特技すらない。
全部、ないように見えてしまうのは、
自分の心が狭いからなのかな。
そんなことを考えながら、
真夜中にアイスコーヒーを飲み、
明日の活動を放棄する決意をした。
☆一方的な言葉を燃やしたい
嫌な出来事を、殴り書くように
美しい文章にしていきたいよね。
深い青の中、レモン色の流星が静かに
音速を突破するように、
一方的に言われ続けた嫌な言葉を燃やしたい。
☆どんなに暗くなっても光を射してやるよ
どんなに暗くなっても光を射してやるよ。
暗い時代だから、ポジティブがどんどん減っていくけど、
ポジティブな言葉を増やし続けたい。
だって、それが明るくなる最善だと思うから。
☆つよがらないで
君の幼いときの無邪気さを思い出すと、
急に胸が痛みだしたよ。
今や、君はクールさを演じようとしているけど、
僕はわかっているよ。
今の君は、つよがっていることを。
☆作られた好きかもしれない
好き、嫌い、好き、嫌い、好き。
白いバラの造花の花びらをハサミで切る。
直線的に切られた白いナイロンは、
今の恋をどう思っているんだろう。
☆止めても、君は進み続けるんでしょ?
君はもう、頑張らなくていいよ。
そう何度も伝えても、どうせ、また頑張るんでしょ?
ねえ、そんなことしないでよ。
もっと、私のこと、見てほしいから。
☆純粋な永遠を凍らせて
純粋な永遠を含めた氷を作ろう。
透明の中に君の名前を見つけるように、
嫌になるほど、痛かった二人の恋を、
忘れないようにしたい。
☆君の不機嫌を甘さで戻せたらいいな
不機嫌をなおしてよって言うのは、一方的すぎるよね。
だって、君を不機嫌にさせてしまったのは、
軽はずみで言ってしまった僕の言葉の所為なんだから。
ごめんね。
夜風で頭を冷やしながら、
ローソンでロールケーキ買ってくるね。
☆気がついたら、寂しいまま、歳を取っていた
歳を取るたびに、寂しかった10代の
みずみずしさは、どんどん減っていってしまうね。
20代になっても、寂しさは満たされないから、
もっと、お腹が空いたよ。
☆誰もみてくれないから
どうせ、誰も褒めてくれないんでしょ?
だったら、自己愛たっぷりに自分を褒めてやるよ。
よし、いい子だ。
☆気持ちがAIに平らにされないうちに
言葉やイントネーションは、AIでどんどん平坦化されていくけど、
起伏ある言葉を使い続けていきたいんだ。
AIに相談なんかしていたら、
そのうち、気持ちすら、
真っ平らで、面白くなくなってしまいそうだから。
☆イノセンス
大人になるにつれて、無邪気さは消されていくけど、
自分の中には、無邪気さを持ち続けていたいな。
雨で濡れた銀色のビル街。
ネオン色を反射する濡れたアスファルト。
そんな退屈な都心でも、
青と緑の夏色の公園で水遊びをしていた、
あの日のことを忘れないようにしていたい。
☆もし、願いを叶えてくれるなら
もし、ひとつだけ、神様が願いを叶えてくれるなら、
君とただ、手を繋いではしゃいでいた日に戻ってみたい。
☆真夏の冥王星
冥王星から君のいる、ちっぽけな地球を眺めるように、
今日も電車の強い冷房の寒さに負けたくない。
☆わずかな行動で化学変化を期待したい
うたた寝で見た、わずかな夢で、
君が微笑んでいたから、
思わず、iPhoneを手に取り、
君とのトーク画面に他愛のないメッセージを打ち込み、
そっと、送信した。
☆甘さを控えめに
甘さを控えめにって、
よく言われたりするけど、
どうしても、甘さは外せないよ。
だって、自分に優しくしないと、
誰が自分のことを、もっと優しくしてくれるの?
☆乗り越えるためにリズムをください
リズムを作っていきたいんだ。
踊って、踊って、踊って。
そんな軽やかさで、
つらい今日も乗り越えていきたい。
☆もっと、ほしい
もっと、愛してほしいし、
もっと、認めてほしいし、
もっと、愛の言葉がほしい。
もっともらしい、ありがちよりも、
印象深い非日常をつくってほしい。
☆見失う必要なんてない
君はね、見失う必要なんてないんだよ。
君は君らしく生きているだけで、最高なんだ。
さあ、もっと、深く息を吸い込んで。
どんな君でも、やっていけるから。
☆泣いた夏を詰め合わせて
泣いた夏はセンチメンタルで、
涙を流した分だけ、忘れられないよ。
その涙は、プールの底の水色が、
透明の中で揺れているみたいだから、
泣いているのに、笑っているみたいだね。
繊細さは、きっとこれからも変わらないと思うから、
泣いた夏を詰め合わせたい。
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2、夏にさよならしようと君に誘われて
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★先を歩く君は最強に爽やかだ
僕の先を歩く君は、
白いワンピースがすごく似合っている。
白い君と青空の田園都市は最強の組み合わせで、
銀色のカーブミラーに湾曲する世界は、
それらをすべて映し出している。
それが透明で満たしすぎた水槽みたいに思ったよ。
僕はそんな君とずっといたいんだ。
そんなことを考えていると君が振り返り微笑んだ。
だから、こう君に返すことにした。
「もう、夏だね」
★もう、あの地点には戻れない
どこにもいかないと君が誓った夜から、
もう、ずいぶんと時間が経ってしまったけど、
あの夜、君からもらった、
イエローゴールドのネックレスは、
未だに捨てられない。
★あのときの自分はどうかしていた
別に非日常を求めているわけではないんだよ。
ただ、雨の中、
街の中、君に偶然、出会ったから、
素直に「あのときは、ごめん」って、
ただ、伝えたいだけなんだ。
★ここ最近の君は
君はここ最近、頑張りすぎているから、
テラス席で、レモネードでも飲んで、
今日だけは、突き抜けた青をぼんやりと眺めよう。
★泣きそうになるよ
「もっと力、抜きなよ」という、
君の優しさだけで、泣きそうになるよ。
今の私がそれだけ弱くなっているのを、
どうして、簡単にわかるの。
そんな君が最高すぎるから、
ありがとうの爆弾を炸裂させたい。
★夏至の終わりも君は優しかった
夏至が終わり、暗くなり始めた公園で、
君と一緒に噴水が止まる瞬間をベンチから見届けた。
ふたりだけの内緒を共有するだけで、
友達以上に親密さを勝手に感じているのは、
私だけかもしれないよね。
だけど、いいよ。
今日、君が落ち込んでいる私のことを、
素直に情けない私のことを、
認めてくれた、その言葉だけで、
今日は十分すぎるくらいだよ。
★ひとりきりでも、生きてはいけるけど
夜のスタバでフラペチーノを飲みながら、
窓越しに雨で濡れ、街のネオン色を反射する、
交差点をぼんやりと眺めている。
ひとりきりでも、生きてはいけるけど、
寂しさで、たまにネガティブに寄っちゃうんだ。
だから、今日も自分の甘さで満たすんだよ。
さよなら、今日の憂鬱。
★君が疲れているのはわかるけど
夏が始まったのに涼しすぎるテラス席で、
君と一緒にレモネードを飲み合っている。
だけど、私にわざとらしく見せる君の笑顔は、
マイナスで水分が消えたみたいに乾いたままで、
持ち越した悩みごとを考えているのはバレてるよ。
だけど、いいよ。
こうして、貴重な時間を作ってくれただけで、
バカな私は嬉しいから。
★君はいつも5分遅れだけど
待ち合わせにいつも君は5分遅れてくるけど、
君が青色のスカートの裾を揺らして、
小走りで来る姿が君、そのものみたいで、
素直に見惚れてしまうんだ。
だから、僕は何分でも、
君のことを待っていられるから、
焦らないで。
★ボトルに願いを込めて
嬉しさをたくさん集めて、
それらを手紙に書き、瓶に入れたよ。
それを海に放り投げたあと、
誰かがしあわせになればいいなって、
そっと浅く願った。
★夏に君の悩みを溶かしたい
西日のオレンジに染まった、ちっぽけな公園を、
君と黙ったまま、ベンチから眺めている。
君が泣いてしまった今日。
少しでも君のことを助けたいと思ったんだ。
だから、残りのコーラを飲み終わったら、
ブランコに座って、ゆらゆらしながら、
もっと君のことを聞かせて。
★都市での孤独には慣れてしまった
都市の中でひとりきりなのは、
もう慣れてしまったんだ。
もう、疲れてしまったから、
どんなときでも、ひとりでいることを
いつも、心のどこかで望んでいるけど、
たまにそれすら、苦しいときがあるんだ。
だけど、ローソンで買った、
大好きなコーヒーゼリーを食べたら、
そんなの忘れられるんだ。
★誰かに、そう言われたい
雨に濡れた夜のビル街の交差点で立ち止まっている。
黒くなったアスファルトに赤信号が反射していて、
それが、青に変わったのと合わせて、
下から、視線を前に戻す。
自分の代わりなんて、
たくさんいるのはわかっている。
だけど、たまにものすごく必要とされていたいんだ。
だから、誰かに、
ただ、「君が必要だ」って、言ってほしい。
★夏に君の涙は湿度に溶けた
終電を降りて、
駅前の信号で立ち止まった瞬間、
少女だった君のことを思い出した。
熱帯夜の公園、白いLEDの下で、
君が悔しそうに涙を流したあの瞬間、
僕は君のことを守りたいと思ったんだ。
君をしっかり理解するとあの日、約束したけど、
その約束は僕と君の心変わりで消えてしまったね。
もう、相当前に過ぎ去ったことだけど、
君の悔しさを、たまに思い出すんだ。
★今を忘れたくない
夕暮れと海は最高に似合うね。
そう言いながら、
オレンジの砂浜でふたりきりで笑い合う。
今日から、かなりの時間が経っても、
きっと、保存した今日のことを思い出して、
君と笑い続けられるような気がするよ。
最近のほろ苦い心の傷は、
いつかは消えてしまうだろうけど、
海原に消え始めた今日のオレンジと、
さっきまでの、君の涙を忘れたくない。
★君は夏の中で輝いたままだ
風に揺れるひまわりと、
赤いワンピースの君は青空と最高の相性だよ。
君のうしろ姿は夏が最強に似合うね。
きっと、iPhoneにその姿を保存しても、
輝きは永遠に失わないだろうけど、
氷の中に閉じ込めるように、
輝いたままの君を保存したくなった。
★温度感は忘れても
仮に凍てついた世界の果てで、
蒸し暑かった今日の熱気を忘れても、
君からの優しい言葉は忘れないよ。
★あのダサい夏のことを、たまに思い出すのはどうしてだろう
ふたりとも大人になったと思い込んでいた、
あの夏、カフェのテラス席で笑いあった日は、
今となっては、記憶の断片に過ぎないね。
レモネードをふたりで飲み合いながら、
安い愛の言葉を並べ合って、
安い永遠を誓いあった。
その帰りにダサいシルバーのペアネックレスを買って、
無邪気に笑いあったよね。
今は、すべて、甘酸っぱくなっているけれど、
たまにね、
君のあどけなさを、ふと思い出してしまうよ。
★いつだって東京タワーは夢の中
すべてが青白く見える東京のビル群を、
ぼんやりと眺めながら、
早く憂鬱が消えないかなって思っている。
そんな自分がものすごく嫌になる。
青白い世界のなかで、今日も東京タワーだけが、
赤と白でしっかりと見えている。
このまま、惰性で生きてしまうのは嫌だから、
夢を幻にして、この街を離れる決意をした。
★今の無力さは、いつか力に変わる
立ち上がるために頑張ってきたことも、
すべて、我慢してきたことに気がついただけだよ。
ただ、それらは、海に青を混ぜるみたいに、
無力だってことを知ってしまっただけなんだよ。
だから、今は、
次に進むために、少しだけ休ませて。
★このまま透明なままでいて
君とこのまま、手を繋いだまま、真夏の空を飛び、
ショッピングモールの吹き抜けのガラスの上を歩きたい。
透明感100%の君が、このまま消えてしまわないように、
素直に君の透明感が好きだと伝えた。
★君は不貞腐れているけど
言い訳すらキラキラしている君は、
不貞腐れるのが上手すぎて、
夕日でオレンジ色の中のホームで、
その表情をしているだけでも絵になるよ。
そんな君の機嫌をなおしたくて、
自販機で君の好きなカフェオレを買ってきたから、
その甘さで元の君に戻って。
★暑い一日が大切だった
君とはしゃぎすぎた日々は本当に楽しかったよ。
絶望的な暑さの中で、海を眺めながら、
くだらないことを話してたことも、
雨から逃げるように駅まで走ったことも、
すべてがこの夏の象徴みたいに思えるんだ。
だから、寂しいよ。
そんな最高な夏が、
もう終わってしまうんだから。
★今年の夏の最後も君だった
夏にさよならしようと君に誘われて、
隣同士で夜の公園で青いシーソーを揺らしている。
8月31日は残り数時間で終わるから、
今年の夏も炭酸みたいに消えそうだ。
だけど、「最高だったから、夏が終わらないでほしい」って、
君がポツリと寂しそうに言ったことは、
しばらく胸のなかで消えそうにないよ。
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3、泣かないで笑う君は、強いわけではない
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☆泣かないで笑う君は、強いわけではない
君のことを真面目だと誤解していたよ。
だから、そのお詫びに、
夜のローソンでアイスを買ってあげる。
そして、君の悩みを聞いたあと、
君の胸の億に凍結してあげるね。
☆君といれば、うずうずした感情を取り戻せそうだ
疲れ切った僕たちは社会に適応するのが苦手で、
閉店前のスタバでお互いの傷を舐め合っている。
「君といれば、どんなことも乗り越えられそう」と、
言ったあとの君は、
涼しい顔してフラペチーノを一口飲んだ。
☆虚弱な君との日々を続けるために
君と残暑の海で星のかけらを拾うのは、
なぜかわからないけど、切なく感じるよ。
砂浜にしゃがみこみ、黄色を拾う君を
しっかりと光景を目の奥に焼き付ける。
君の白いワンピースは今日も似合っているし、
海風でワンピースの裾が揺れて、
ふと、君が消えてしまいそうな気がした。
弱い君を守りたいから、
君の虚弱を取り除くために、星に願いを込めよう。
集めた、かけらを瞬間接着剤で、
隙間なく、くっつけて、
それを打ち上げて願おう。
君との世界が、ずっと上手くいくように。
☆青い夏を超えるたび、大人に近づいていく
青い夏を何度も越えて、
大人に近づいていくのは、
机の上に置いた氷が溶けるのを
ぼんやりと眺めることに似ている。
☆何気ない日常を落としたペンで書き記したい
落としたペンを拾おうとして、
同じく拾おうとした君の指に触れた。
その瞬間、君と目が合い、
一気に緊張をインストールされて、
君と親しくなってみたいと思った。
☆夏の終わりは、いつも初恋を思い出してしまう
もうすぐ期間が終わる限定のフラペチーノを飲みながら、
ふと、だいぶ昔になった初恋を思い出した。
未だに君のことを思い出すと、
胸に熱さを感じるのは、
夏の終わりに、
「居心地がいい」と君に言われたことが、
印象的だったからだよ。
☆君の青色を溶かしたくない
傷つけあい、すれ違ったやり取りの所為で、
君との深い思い出は、
夏の青さといっしょに消えてしまいそうだよ。
君を忘れないように、
「ごめんね」と返すと、
既読がつき、青は溶けないんだと、
少しだけ安心した。
☆泣きべそな気持ちをなだめる友は最高すぎる
微温い雨で濡れた街は、
スポンジで悲しみを吸っているみたいだね。
カフェから眺める街がそう見えるのは、
君が機能、別れを告げたからだよ。
通知が来て、LINEを開くと、
励ましの言葉が並んでいた。
持つべきものは友だね。って返すと、
カエルの変なスタンプがすぐに来て、
笑えたから、まだ生きれるなって思った。
☆君の夢は信じていても、叶いそうだから、
それまで君が言ったことを信じているよ
キラキラした目で無数の夢を語る
君を見ているのは、嬉しく感じるよ。
もし、夢が叶ったら、
一緒に芝の上に仰向けになって、
笑っていようね。
生きた心地をしっかり感じられるだろうから。
だから、そのときまで、
君の情熱をジンジャエールの瓶の中に保存したい。
☆夏の終わりに君から告げられたのはつらい
君との恋は、
炎天下のコンクリートに落とした
ソフトクリームのようにすぐに溶けたね。
白い思いは今も抱いたままだけど、
甘かった君を失望させたなら仕方ないよね。
だから、夏が終わったあと、
君よりも素敵な相手に出会えるように前を向くね。
☆君との約束はないけど、君と会うのが習慣になってきたよ
連日の残暑でエナジーが尽きる前に、
君が再び立ち上がれるように、優しさをあげるよ。
連日、聞いている君の悩みは、
夜の公園の中でも、キラキラしていて、
愚痴じゃないように感じるよ。
だから、缶のカフェオレを2つ買って、
昨日と同じベンチで待ってるよ。
日常から抜け出して、今日もここにおいで。
☆もうすぐ、新しい季節を迎えるね
伸びきった髪をショートボブにして、
しばらく投資していなかった自分が鏡の前で輝く。
そんな鏡の世界の自分を眺め、
熱さが過ぎ、秋色が始まる前に、
新しいことが始められそうな気がした。
☆夢と理想は正反対で、たまに自分を責めたくなる
君にしたためた手紙を破り捨てた夢を見たよ。
目覚めると涙が溢れているくらい切なく、
カフェオレよりも、ほろ苦かったんだ。
だから、すぐに君とのLINEを開き、
「大切にする」と夢の免罪をしたためた。
約束に間に合わせるために、
昨日、準備した服をまとって、
雨の中、泳ぐようにして、
君の元へ急ぐよ。
☆大人になれないふたり
大人になれない君と僕は夕暮れの海を眺めていた。
「なんで失恋するんだろうね」
君はため息を吐いた。
「コーラでも飲みなよ」
「ありがとう」
コーラを飲む君の毛先が風で揺れた。
「コーラくれるのに、振るんだね」
君は泣きながら微笑むから、
僕はもうすぐ火星に帰ることを伝えた。
☆素直さも君の武器だよ
不貞腐れた君は、
夜の青いシーソーみたいに不安定だ。
だけど、ひとつだけ言えるのは、
飾らない君が好きだってことだよ。
☆変われない日々は、夢の中みたいに微温い
夏の終わりの日の朝、
カフェのオープンテラスから忙しい街を眺めていると、
巡る季節から、置いていかれているような気がする。
生き方を変えないまま、
生活を変えないまま、
よかった記憶はどんどん遠くなっていく。
もし、このまま世界の時計が止まっても、
後悔なんてしないと思えるくらい、
今はまだ、何も見えないけど、
きっと、その先は明るいはずだ。
だから、今は何も考えずに、
クリープで白く濁したアイスコーヒーを飲んで、
夏の名残を楽しむことにした。
☆札幌エスタ永遠に
小学生の頃、
そごうからエスタになり
ビックカメラがオープンした
それが2001年
その年のクリスマス
発売したばかりのピクミンを買ってもらった
そして2015年
札駅近くで働いたとき
地下のモスでランチをよく食べた
そんな、エスタは旅立つ。
さよなら札幌のすべての思い出。
☆恋に溺れ、嘘を覚えた
恋に溺れ、嘘を覚えた私は
ペンギンが空飛ぶことを願うような状態になった。
だから、本当に恋した君のことを逃したくないから、
君を困らせようと思った。
「本当は好きな人がいるんだ」
「いいよ」
「えっ、なんで?」
「俺、人の心の声聞こえるんだ」
一瞬、揺れた気持ちも君にバレちゃったかな。
☆君との予感を抱いたまま、今年の夏が終わろうとしている
友達以上恋人未満の君との関係は、
今シーズン最後の花火から動かないね。
今は忙しいけど、
秋が深まる前にまた動く予感がするから、
君への想いを切らさないようにするね。
【初出】
1章
完全書き下ろし
2章
蜃気羊 X(@shinkiyoh)
https://x.com/shinkiyoh
2024.6.1~8.31
3章
蜃気羊 X(@shinkiyoh)
https://x.com/shinkiyoh
2023.8.14~8.31



