0時のあいびき

 「キャー」

 「は?」

 ユウタは学園町のコンビニを背に、女のほうへ来た道を大股で戻る。

 「ごめんなさい、蛾が、蛾が顔の近くにきて…。」

 「蛾がじゃねぇよ。なについて来てんだよ。」

 「いや、私も家まで帰ろうと…。」

 エリはボソボソと声を闇夜に溶け込ませる。

 「こっちならこっちって言えよ!」

 エリは目をギュッと閉じて身震いする。
 ユウタは左手をエリに差し出した。

 「え?」

 「エリちゃん、本当に何も知らないんだね。」

 ユウタは強引にエリの右手をつかんでコンビニの方へ歩き始めた。

 「この辺、夜は危ないんだ。走り屋の車も出るし、変なやつも居るみたいだし。学生の町だからって安心しちゃダメだよ。」

 エリはユウタにくっついて、手を強く握ってその先を進んだ。