夏祭りも終わり季節はもうすっかり秋へと移行し、少しずつ肌寒くなっていた。
「…ここ、行楽シーズンにオススメなんですよ〜!ー紅葉が綺麗で…」
女性社員がスマホ片手に仲のいい同僚に彼氏に連れて行って貰ったと自慢をしている。
チラッと見えた画面には真っ赤な紅葉が写っていた。
「その紅葉どこで見れるんですか?」
「!えっ!?えっ…と、ここです!」
突然話しかけたことで驚かせてしまったことを最後に謝り、御礼を述べて僕は席を立つ。
食堂へ行くと、もう昼休憩も終わりに近いからか人もまばらになった食堂で結月を見つける。
「あ、先輩!お疲れ様です!」
「お疲れ様。なぁ、結月今日の夜空いてる?」
「はい、空いてますけど…どうしたんですか?」
「ちょっと話があって…ふたりでご飯でもどうかなって思って」
「大丈夫です!どこ行きます?焼肉?」
「良いね!焼肉行こう!」
「はい!」
「じゃ、仕事終わったら玄関前で待ってて」
「はい!」
こうして約束をした俺はもう結月のことしか考えられなくなっていった。
「お疲れ様です」
定時になり、俺は周りに挨拶をして全速力で玄関まで走る。
「結月!ごめん、お待たせ」
「いえ!全然待ってないです!」
「じゃ、行こうか」
「はい!」
結月を車の助手席に乗せ、焼肉屋へ向かう。
「結月、空調寒くないか?」
「大丈夫です」
結月を乗せているといつも以上に丁寧な運転になる。
ふと、信号に引っかかり隣を見ると結月がウトウトと微睡んでいる。
俺は微笑ましくなり、この時間が1秒でも長くなれば良いのにと思ってしまう。
「寝てて良いよ、着いたら起こすから」
「ありがとうございます…おやすみなさい…」
焼肉屋に着き、車を停める。
「あ、起きたか?」
「…おはようございます…せんぱぁい…」
「おはよう、着いたぞ」
結月が動けるようになるまでほんの2分程の間、その間さえ俺にとっては楽しい時間で
つい、微笑みながらみつめてしまう。
店内に入り、注文をする。
「それで先輩、話ってなんですか?」
「…あのさ」
「…はい」
空気が重くなるのを感じながら俺は口を開く。
「…俺、今日兄貴が帰って来るから帰る所ないんだよな…結月の家に泊めてくれないか?」
「…まぁ、泊めるぐらいなら大丈夫ですよ」
「ありがとう!」
結月の家に着き、家に上がる。
「お、お邪魔します」
結月の家はシンプルだが、どこか温かみのあるカラーのインテリアでコーディネートされていて落ち着く部屋だった。
結月の家に上がったものの、することもなく
ただただのんびり過ごすのも良かったが、それは俺の心臓が持たないので前に話していたゲームの存在を思い出し、切り出す。
「結月、早く入って。前に言ってたゲームしようぜ」
「はい!」
数時間後
「うあーっ!また負けたああぁぁ!」
「先輩、意外とゲーム不慣れなんですね」
結月が笑いながら言う。
「もう1回だけ!もう1回だけ!」
「わかりました。あと1回だけですよ」
そして沢山ゲームをした結果俺の負けでお風呂を沸かすことになった。
お風呂から出て、暫くボーッとテレビを観ていると
「でも、意外でした。先輩ご兄弟がいらしたんですね」
「そう?といっても、最近はそんなに会ってないんだけどね」
「仲悪いんですか?…あっ、言いたくないとかなら言わなくて良いんですけど!」
「いや、普通に仲良いよ?会えてないだけで、たまに通話はしてるから」
「そうなんですね!」
こうして楽しく過ごして、そろそろ寝ようかという頃
先輩が話しかけて来た。
「なあ、結月…行楽シーズンどこか行くのか?」
「いえ、どこも混んでますし、今年も家で過ごそうかなと思ってます…どうかしたんですか?」
「…一緒に遊びに行きたい…ダメ?」
「良いですよ、どこに遊びに行きます?」
こうして、お互い眠るまで語った。
とても楽しい、こんなに楽しかった事は人生でそんなに無かった。
翌朝
「…ん」
目覚まし時計に起こされて、目を開ける。
「おはよう」
「おはようございます…!?」
目を開けると床で寝ていたはずの先輩がベッドに腰掛け、顔を近付けていた。
「…って!なんでこんなに顔が近いんですか!?」
「…朝ごはん出来たから起こしてたんだ」
「ってか、朝ごはん作ってくれたんですか!?うわー、ありがとうございます!」
そう言いながら飛び起きた僕を見て先輩はちょっとだけびっくりしたようで、少し瞳孔が大きくなった気がした。
「そんなに朝ごはん作るの憂鬱だったの?」
だが、すぐに普通の顔に戻り微笑みながら訊ねる。
「憂鬱ですよ!勝手にご飯が毎日作られてるのがどんなに幸せか」
「…じゃあ、これから毎日朝ごはん作って来るから会社で食べよう」
「良いんですか!?やったー!」
「うん。だから……俺と付き合ってくれませんか?」
「…え?」
「俺…結月のことが好きなんだ。愛してるんだ」
心臓が有り得ない程にバクバクと鳴る。
「…あの、今なんと…」
手が震える。
「結月のことが、好きだから付き合って欲しい」
「…!はい!喜んでっ!」
結月は、とびっきりの笑顔で応えた。
「…ここ、行楽シーズンにオススメなんですよ〜!ー紅葉が綺麗で…」
女性社員がスマホ片手に仲のいい同僚に彼氏に連れて行って貰ったと自慢をしている。
チラッと見えた画面には真っ赤な紅葉が写っていた。
「その紅葉どこで見れるんですか?」
「!えっ!?えっ…と、ここです!」
突然話しかけたことで驚かせてしまったことを最後に謝り、御礼を述べて僕は席を立つ。
食堂へ行くと、もう昼休憩も終わりに近いからか人もまばらになった食堂で結月を見つける。
「あ、先輩!お疲れ様です!」
「お疲れ様。なぁ、結月今日の夜空いてる?」
「はい、空いてますけど…どうしたんですか?」
「ちょっと話があって…ふたりでご飯でもどうかなって思って」
「大丈夫です!どこ行きます?焼肉?」
「良いね!焼肉行こう!」
「はい!」
「じゃ、仕事終わったら玄関前で待ってて」
「はい!」
こうして約束をした俺はもう結月のことしか考えられなくなっていった。
「お疲れ様です」
定時になり、俺は周りに挨拶をして全速力で玄関まで走る。
「結月!ごめん、お待たせ」
「いえ!全然待ってないです!」
「じゃ、行こうか」
「はい!」
結月を車の助手席に乗せ、焼肉屋へ向かう。
「結月、空調寒くないか?」
「大丈夫です」
結月を乗せているといつも以上に丁寧な運転になる。
ふと、信号に引っかかり隣を見ると結月がウトウトと微睡んでいる。
俺は微笑ましくなり、この時間が1秒でも長くなれば良いのにと思ってしまう。
「寝てて良いよ、着いたら起こすから」
「ありがとうございます…おやすみなさい…」
焼肉屋に着き、車を停める。
「あ、起きたか?」
「…おはようございます…せんぱぁい…」
「おはよう、着いたぞ」
結月が動けるようになるまでほんの2分程の間、その間さえ俺にとっては楽しい時間で
つい、微笑みながらみつめてしまう。
店内に入り、注文をする。
「それで先輩、話ってなんですか?」
「…あのさ」
「…はい」
空気が重くなるのを感じながら俺は口を開く。
「…俺、今日兄貴が帰って来るから帰る所ないんだよな…結月の家に泊めてくれないか?」
「…まぁ、泊めるぐらいなら大丈夫ですよ」
「ありがとう!」
結月の家に着き、家に上がる。
「お、お邪魔します」
結月の家はシンプルだが、どこか温かみのあるカラーのインテリアでコーディネートされていて落ち着く部屋だった。
結月の家に上がったものの、することもなく
ただただのんびり過ごすのも良かったが、それは俺の心臓が持たないので前に話していたゲームの存在を思い出し、切り出す。
「結月、早く入って。前に言ってたゲームしようぜ」
「はい!」
数時間後
「うあーっ!また負けたああぁぁ!」
「先輩、意外とゲーム不慣れなんですね」
結月が笑いながら言う。
「もう1回だけ!もう1回だけ!」
「わかりました。あと1回だけですよ」
そして沢山ゲームをした結果俺の負けでお風呂を沸かすことになった。
お風呂から出て、暫くボーッとテレビを観ていると
「でも、意外でした。先輩ご兄弟がいらしたんですね」
「そう?といっても、最近はそんなに会ってないんだけどね」
「仲悪いんですか?…あっ、言いたくないとかなら言わなくて良いんですけど!」
「いや、普通に仲良いよ?会えてないだけで、たまに通話はしてるから」
「そうなんですね!」
こうして楽しく過ごして、そろそろ寝ようかという頃
先輩が話しかけて来た。
「なあ、結月…行楽シーズンどこか行くのか?」
「いえ、どこも混んでますし、今年も家で過ごそうかなと思ってます…どうかしたんですか?」
「…一緒に遊びに行きたい…ダメ?」
「良いですよ、どこに遊びに行きます?」
こうして、お互い眠るまで語った。
とても楽しい、こんなに楽しかった事は人生でそんなに無かった。
翌朝
「…ん」
目覚まし時計に起こされて、目を開ける。
「おはよう」
「おはようございます…!?」
目を開けると床で寝ていたはずの先輩がベッドに腰掛け、顔を近付けていた。
「…って!なんでこんなに顔が近いんですか!?」
「…朝ごはん出来たから起こしてたんだ」
「ってか、朝ごはん作ってくれたんですか!?うわー、ありがとうございます!」
そう言いながら飛び起きた僕を見て先輩はちょっとだけびっくりしたようで、少し瞳孔が大きくなった気がした。
「そんなに朝ごはん作るの憂鬱だったの?」
だが、すぐに普通の顔に戻り微笑みながら訊ねる。
「憂鬱ですよ!勝手にご飯が毎日作られてるのがどんなに幸せか」
「…じゃあ、これから毎日朝ごはん作って来るから会社で食べよう」
「良いんですか!?やったー!」
「うん。だから……俺と付き合ってくれませんか?」
「…え?」
「俺…結月のことが好きなんだ。愛してるんだ」
心臓が有り得ない程にバクバクと鳴る。
「…あの、今なんと…」
手が震える。
「結月のことが、好きだから付き合って欲しい」
「…!はい!喜んでっ!」
結月は、とびっきりの笑顔で応えた。



