お祭り当日。


目覚まし時計とスマホのアラームが鳴る。


意識が段々と覚醒するも


「…あ…ダメか…」


俺は体温計を片手に休みの連絡を入れようかとも思ったが、結月を始め会社のみんなが一致団結してる中、休むのも申し訳なくなる


このまま休むのは後悔するかもしれないと気合いを入れて祭りの会場へと向かった。


「先輩!おはようございます!」


「おはよう、今日は頑張ろうな!」


「はいっ!」


とびっきりの笑顔で結月は張り切って着々とたこ焼き器でたこ焼きを作っていく。


数時間後


たこ焼き器から出る炎と夏の暑さと熱の暑さで限界を向かえ、俺は意識を失った。


意識を取り戻したものの、倦怠感には抗えずに目を閉じたままで居ると結月の声が聞こえて来る。


「先輩…」


ベッドに近づいて来た結月の為に目を開けようとするも


チュという音が聞こえると、同時にほっぺたに唇が当たる。


びっくりした、いきなりほっぺたにキスして来るなんて…


それに妙にくすぐったい


結月が立ち去った後、俺の頬が火照る。


「…っ」


なんで結月は俺にキスなんかしたんだろう。


もしかして結月は俺のことが好きなんじゃないかと期待してしまう。


数時間後

結月は再び俺の居るテントへと来る足音が聞こえる。


俺はベッドに座っていると、スタッフの人が話かけて来る。


「目覚めましたか?体調は大丈夫ですか?」


「はい…ありがとうございました」


「先輩!良かった、体調は大丈夫ですか?」


「あぁ、ごめんな。迷惑かけて…」


結月を見ていると、守りたくなる。


結月の頭を撫でながら俺は申し訳なくなり、結月に今の状況を訊ねる。


「大丈夫です!その分みんなで協力し合って、今は客足も落ち着いて居るので!」


「…なら、良かった」


無事に終われそうで安堵したのも勿論だが、結月が挫折して、落ち込んでなくて良かった。


そう思うと"お疲れ様"の意を込めて、俺は結月をハグしていた。


「…え?」


「せっ、先輩っ!?」


戸惑う結月を無視して、俺は僕を強く抱き寄せたままお強請りをしてみた。


「まだ、こうして居たい…ダメ、か?」


「…ッ!大丈夫、です…っ!」


さり気なくほっぺたにさっきのキスのお返しのつもりで俺も結月のほっぺたにキスをする。


「…な、なんで、すか…もぉ…っ!」

結月はくすぐったいと抗議をしつつも、幸せそうな表情をしていた。


俺はいつまでもこの笑顔を守り続けていくことを誓った。