大学を卒業し、社会人一年目の春


僕は最大のピンチを迎えていた。


僕の名前は結月 輝空(ゆづき そら)。


25歳。


一人暮らし。


時刻は6時30分


「やばっ！遅刻じゃん！」


始業時間は7時


通勤時間は車で30分の場所にある商社企業。


ベッドから飛び起き、高速で歯を磨き、髪を整えスーツに着替える。


ここまでで12分


大丈夫だこれならまだ信号に引っかからなければ間に合いそうだ。


家を出て車に乗り、いよいよ出発だ。


何とか信号に引っかからず無事に会社に着き、ホッと一息吐いていると上司の兼山さんが話しかけて来た。


「おはよう、結月さん」


「兼山さん！おはようございます」


「今日行く所なんだけど…」


「結月さん、やっぱりイケメン…！」


「惚れちゃいそう…何であんなにかっこいいの…？」


兼山さんとの会話中コソコソとそんな会話が聞こえて来る。


「ごほん！さ、早く行くよ！」


兼山さんのわざとらしい咳払いで散り散りと解散していく女性社員達


「はい！」


こうして僕の日常が始まる。