名前を奪われた少女は、妖神と共に誓いを抱いて歩む。ー名喪ノ帳帖ー

甲高く笑う桔梗に、蓮花は、恐怖で動くことができない。

「何で…」

蓮花は、その声に、かすれた声で尋ねた。

「なぜですって?わたくしに呪い返ししておいて、よくも問えるものね?」

桔梗は、心底おかしい、というように笑った。

「あの絵描きは、私が雇ったの。お前を探せと命じたやつらは国内を探し回るのみ。門外へ放ったのだから、門の先を探すべきだとして、門兵が居ない交代の時間を狙って、落としたの。手紙と、転移紋を刻んで、名喪人として送ったわ。いい働きをしてくれたから、あいつには一応感謝はしているの。約束通り、家族も使ってやっているしね」

そう言って、桔梗は、蓮花を見下し、不敵に笑った。蓮花は、その言葉に、絶望の淵に突き落とされた。

蓮花の耳飾りをちぎったことで、碧嶺の片割れの耳飾りが激しく反応し、蒼翼と共に、蓮花と桔梗がいる場所に駆けつけるために急いでいた。

「あんたのせいで、わたくしは国中で『嫁き遅れ』だなんて言われる始末。死んでいないなら、その命をもって償うといいわ!来なさい!!」

桔梗は、憎悪に満ちた目で蓮花を睨みつけ、その髪を、乱暴にひっつかんだ。蓮花は、その力に抗うことができず、よろめいた。

そこへ駆けつけたのは、碧嶺と蒼翼だった。

「蓮花!」「蓮花さま!」