名前を奪われた少女は、妖神と共に誓いを抱いて歩む。ー名喪ノ帳帖ー

3日後に約束を取り付け、蓮花はその場を後にする。天閣に戻った後で、島人の過去を聞こうとした理由や、霜霞国をなぜ詳しく知っていたのかを聞きそびれてしまったことを思い出す。また3日後に聞かなければ、と思った蓮花だった。

碧嶺にもそのことを伝え、凛音から他の島人に伝達してもらうことができた。そして、約束の3日目。一人、また一人と、島人たちが集う。不安そうだった彼らの顔には、今は、期待が浮かんでいた。

「皆さん、お集りいただきありがとうございます。もうすでにご存じかと思いますが、新たに島人として加わった、こちらの男性ですが、絵描きが上手な方なのです。島人全員が集まった絵を描いてもらおうと思い、私サクが頼み込み、本日は皆さんのお時間をいただきました。一枚描き上げた後、住居で、島人全員分を描いて渡してくださるそうです」

そう蓮花が伝えるや否や、不安そうにしていた島人たちも、自身を描いてもらう機会に、心を躍らせていた。

「こんなこと、めったにないから、別嬪に描いてほしい!」

「男前にしてくれよ!」

そんな声が上がり、皆、楽しそうにしている。

「絵を描き上げるには、背景も大事だ」と、男性が言うので、島人みんなで、一番きれいな景色を決めることから始まった。