「いいか、蓮花。今後、舟の案内人として乗ってもらうことになったが、やることは分かっているか?」
久惔の声は、澄んだ空気の中で、重々しく響いた。
「もちろんです。私が受けたように、各島と妖神についてお伝えするんですよね?」
「そう、その通りだ。今回は蓮花と同じく翠嶺島に行く者だから、名の把握も必須だな」
「分かりました」
蓮花は、決意を胸に、久惔の霊と共に舟に乗り、舟着き場から離れた。蓮花が漕がなくても、舟は一定の速度で進んでいく。その舟が止まったのは、おそらく門の前。まだ開門していないようだった。
突如、その門が開き、霜霞国側の光が、こちらに差し込んでくる。あちら側から見れば、暗闇が光を吸収しているように見え、こちらの様子は一切分からないそうだ。
門から放り出された人影を、久惔の霊が、優しく包み込み、舟へ下ろした。蓮花は、自分自身も久惔の霊にそうしてもらったから、痛みを感じなかったのだ、と、今さらながらに気づいた。
閉門を待たずして、舟は動き始めた。今回、名喪人となったのは、男性のようだった。しかし、彼は、蓮花のときのように体が汚れていたりだとか、怪我をしている様子も一切なく、着ている服も、なんだか名喪人に見えない、仕立ての良い服であった。
久惔の声は、澄んだ空気の中で、重々しく響いた。
「もちろんです。私が受けたように、各島と妖神についてお伝えするんですよね?」
「そう、その通りだ。今回は蓮花と同じく翠嶺島に行く者だから、名の把握も必須だな」
「分かりました」
蓮花は、決意を胸に、久惔の霊と共に舟に乗り、舟着き場から離れた。蓮花が漕がなくても、舟は一定の速度で進んでいく。その舟が止まったのは、おそらく門の前。まだ開門していないようだった。
突如、その門が開き、霜霞国側の光が、こちらに差し込んでくる。あちら側から見れば、暗闇が光を吸収しているように見え、こちらの様子は一切分からないそうだ。
門から放り出された人影を、久惔の霊が、優しく包み込み、舟へ下ろした。蓮花は、自分自身も久惔の霊にそうしてもらったから、痛みを感じなかったのだ、と、今さらながらに気づいた。
閉門を待たずして、舟は動き始めた。今回、名喪人となったのは、男性のようだった。しかし、彼は、蓮花のときのように体が汚れていたりだとか、怪我をしている様子も一切なく、着ている服も、なんだか名喪人に見えない、仕立ての良い服であった。



