「そうなんですね。でも、1日に5人しか名を明らかにできない自分が不甲斐ないです。お役に立ちたいのに、本当にすみません……」
蓮花は、そう言って、頭を下げた。
「いや、5名も名が分かるんだから、これは素晴らしいことだよ。どうか負担に思わず、これからも協力してくれるかい?」
碧嶺の言葉に、蓮花は顔を上げた。その目に、碧嶺の優しさが映っていた。
「もちろんです!明日も、明後日も、お任せください!」
蓮花は、胸を叩いて、力強くそう答えた。
そうして蓮花は、日々、5人ずつ島人の名を明らかにしていくのだった。そして、ついに、翠嶺島の人々の名を、碧嶺に伝え終えた。儀式には、蓮花はさしてすることもなかったが、同席するようになった。そして碧嶺は蓮花に、名喪人として島で最期を過ごした人々との、温かい思い出を話してくれる。
帳制度を作るにあたり、反対した人々が初めの名喪人となったこと。
そんな帳制度に異議を唱えていた者たちを束ねていた人こそが、度々名が碧嶺の口から出ていた澄遥という人。
なんと、帳制度を制定していく中でも重要な役回りを任されていた人物でもあったらしい。
蓮花を呼ぶ、光の玉が、碧嶺の部屋に入ってきた。その声の主は、久惔だった。
彼曰く、どうやら名喪人として新たな島人がやってくるようだった。



