一方その頃、霜霞国王家、桔梗の部屋では。
高熱に苦しむ桔梗が、ベッドに横になっていた。熱が体中を駆け巡り、まるで業火に焼かれているかのようだ。時折、苦しそうに、言葉にならない声をもらし、もがき苦しむ桔梗。汗がにじみ、髪が額に貼り付いている。
使用人たちが、甲斐甲斐しく世話を焼くも、一向に熱は下がらない。氷を額に当て、濡れタオルで体を拭いても、熱は治まる気配がない。医師も呼ばれたが、「いたって健康だ」と診断をつけた。
どう見ても体調を崩しているように見える桔梗に、健康だと診断をつけた医師は、藪医者だと罵倒され、追い出された。誰にも、桔梗の身に何が起こっているのか、その理由など分からなかった。
桔梗本人以外には。
桔梗は、引かない熱になんとか耐え、信用できる者を呼びつけ、掠れた声で告げた。
「あの名喪人を探しなさい」
従者は、その言葉に戸惑いを隠せない。
「あの名喪人とは、誰のことでございましょうか?」
そして、名喪人を探すとなると、門外へ行かなければならない。従者は、馬鹿にしたくなる気持ちを抑えて、問いかけた。
「もう放したのですから、死んでいるのでは?」
桔梗は、その言葉に頭にきて、あたりを、怒り狂ったように叫ぶ。



