その幻想的な光景に目を奪われつつも、蓮花の頭には、素朴な疑問が浮かんだ。「どうやって浮いている島までいくのだろうか」と蓮花は、碧嶺を見上げてみた。碧嶺は、蓮花の考えていることが分かったのか、少し微笑んだ。
そして、やはり蓮花には聞き取れない言語で、短い詠唱をすると、彼らがいる、この地面が、まるで船のように、音もなく、ゆっくりと動き出した。霧で見えなかった先から、光の粒でできたような、幻想的な階段が、浮島へと伸びてくる。
「上れるかい?難しいようなら、抱えて昇るが」
碧嶺は、そう言って、蓮花を気遣ってくれる。
「い、いえ!自分で歩いて上れます」
蓮花は、慌てて答えた。碧嶺と手を合わせるだけでも緊張したのに、抱えられるとなると、どうしていいか分からなかった。
浮島なのだから、地面から離れた位置にある。高く、長い階段に、踏み外して落ちてしまったらどうしよう、という恐怖が蓮花の中に芽生える。だが、蓮花は、一歩、また一歩と、自身の足で上っていく。もし、ここで立ち止まってしまったら、そこから一歩も動けなくなることは確実だ。だから蓮花は、その恐怖を押し殺し、ただひたすらに、一歩一歩を上っていく。
地上から離れたせいなのか、空気が薄くて息が上がる。蓮花は、肺が冷たい空気を求めているのを感じながら、一段ずつ階段を上っていった。



