名前を奪われた少女は、妖神と共に誓いを抱いて歩む。ー名喪ノ帳帖ー

その言葉に、蓮花は、自分が、やはりただの道具に過ぎなかったことを改めて思い知らされた。
桔梗が部屋を出ていった後、二人から、蓮花に死刑宣告にも等しい言葉が告げられる。

「あなた、処分ね」

「門外へ連れて行け」

声には、一切の躊躇いがなかった。家臣に手足に枷をつけられ、蓮花は、まるで荷物のように、ズルズルと引きずられる。

何をされるのか分からず、蓮花は動かせる範囲で手足を動かし、体をくねらせた。だが、蓮花の抵抗は、彼らには痛痒にも感じない。蓮花の抵抗をもろともせず、彼らは、蓮花を黙らせるために、無慈悲に鞭を打ち付けた。

ビシッ、ビシッ。

鞭の乾いた音が、蓮花の体中にあたり、響く。蓮花の痛覚はおかしいのか、鞭打ちが痛くは感じなかった。いや、違う。通ってきた道がわかるほど、引きずられてできた傷から、赤黒い血が流れ、道を作っていたからだった。

王城内はまだよかった。広間の床は凹凸がなくいつもきれいで、廊下も霜布緋が敷かれている。摩擦熱は、普段の奴紋で焼かれているせいだろうか。さほど痛くは感じなかった。血を流しすぎて、痛覚が麻痺しているようだった。

やがて、屋敷の外に出された蓮花は、道行く人々が、蓮花と目を合わせようとしないのを目にした。しかし、その視線には、明らかな嘲笑と、蔑みがあった。