その顔には、蓮花の姿を、まるで一時の娯楽でも見るかのような、冷たい好奇心が浮かんでいた。
「手を、帳帖の置かれている帳台にかざしてください」
蓮花に再度告げたのは、先ほども手順を教えてくれていた機械的な女性。蓮花は、言われるまま、指示に従う。
蓮花の手が帳台にかざされた瞬間、帳帖は、まるで生きているかのように、勝手に開いた。ページの束が、まるで一斉に風を浴びたように、パラパラと音を立ててめくられ、そして、ぴたりと止まった。
あたりは静かで、皆、固唾を呑み帳帖にだけ集中している。開かれている扉から、冷たい風が吹き込み、蓮花の頬を撫でた。そして、止まったページに、薄っすらと、しかし確かに、蓮花の名前が滲み出てくる。
「わぁ……!」
驚いて、思わず声を出しそうになったが、かざしていない方の手で、慌てて自身の口を覆った。儀式中は決して声を出してはならないと、事前に教えてもらっていたからだった。
細く滲んでいた蓮花の名前が、突然、パッと音もなく消えた。そして、帳帖は、まるで最初から何も書かれていなかったかのように、静かに閉じる。
帳帖を回収に来た者に、手を下ろして、壇から退いてと指示されたので、蓮花はそのとおりにした。帳帖はそのまま桔梗の前に置かれた。
「手を、帳帖の置かれている帳台にかざしてください」
蓮花に再度告げたのは、先ほども手順を教えてくれていた機械的な女性。蓮花は、言われるまま、指示に従う。
蓮花の手が帳台にかざされた瞬間、帳帖は、まるで生きているかのように、勝手に開いた。ページの束が、まるで一斉に風を浴びたように、パラパラと音を立ててめくられ、そして、ぴたりと止まった。
あたりは静かで、皆、固唾を呑み帳帖にだけ集中している。開かれている扉から、冷たい風が吹き込み、蓮花の頬を撫でた。そして、止まったページに、薄っすらと、しかし確かに、蓮花の名前が滲み出てくる。
「わぁ……!」
驚いて、思わず声を出しそうになったが、かざしていない方の手で、慌てて自身の口を覆った。儀式中は決して声を出してはならないと、事前に教えてもらっていたからだった。
細く滲んでいた蓮花の名前が、突然、パッと音もなく消えた。そして、帳帖は、まるで最初から何も書かれていなかったかのように、静かに閉じる。
帳帖を回収に来た者に、手を下ろして、壇から退いてと指示されたので、蓮花はそのとおりにした。帳帖はそのまま桔梗の前に置かれた。



