その表情には、蓮花の言葉に納得したわけではない、ただの気まぐれな優しさしか感じられなかった。
「行きましょう」
桔梗は、そう言い残すと、身をひるがえして、御者の待つ馬車へと戻っていった。使用人は、蓮花の腕を離すと、さも汚いものに触れたかのように、自分の手を叩き払った。
蓮花は、少年を救えたことに安堵する。
少年の手から流れているその血が、地面にポタリポタリと落ちる。
蓮花は、その場で少年の手当をしようと、何かできることはないかと必死に考えた。が医療医学の知識を持ち合わせていない蓮花はどうすればいいかわからず狼狽えるばかりであった。そうこうしているうちに、御者が蓮花を止める。
「早く乗りなさい。出発するぞ」
その言葉に蓮花は、少年は自警団の方に託し、馬車へと走り出した。振り返ると、少年はまだその場に立ち尽くしていた。その姿は、まるでこの世から消えてしまいそうなほど、儚く見えた。
御者の横に戻った蓮花は、少年の傷が治ることを、心から祈りながら、自警団と共に去っていく、少年の姿が見えなくなるまで、何度も振り返った。
辿り着いた先は、荘厳な、まるで宮殿のような建物だった。
ここで名を失うことになるなど、蓮花は思いもしなかった。ただ、その美しさに目を奪われ、つられて歩いていく。
「行きましょう」
桔梗は、そう言い残すと、身をひるがえして、御者の待つ馬車へと戻っていった。使用人は、蓮花の腕を離すと、さも汚いものに触れたかのように、自分の手を叩き払った。
蓮花は、少年を救えたことに安堵する。
少年の手から流れているその血が、地面にポタリポタリと落ちる。
蓮花は、その場で少年の手当をしようと、何かできることはないかと必死に考えた。が医療医学の知識を持ち合わせていない蓮花はどうすればいいかわからず狼狽えるばかりであった。そうこうしているうちに、御者が蓮花を止める。
「早く乗りなさい。出発するぞ」
その言葉に蓮花は、少年は自警団の方に託し、馬車へと走り出した。振り返ると、少年はまだその場に立ち尽くしていた。その姿は、まるでこの世から消えてしまいそうなほど、儚く見えた。
御者の横に戻った蓮花は、少年の傷が治ることを、心から祈りながら、自警団と共に去っていく、少年の姿が見えなくなるまで、何度も振り返った。
辿り着いた先は、荘厳な、まるで宮殿のような建物だった。
ここで名を失うことになるなど、蓮花は思いもしなかった。ただ、その美しさに目を奪われ、つられて歩いていく。



