名前を奪われた少女は、妖神と共に誓いを抱いて歩む。ー名喪ノ帳帖ー

「碧嶺さんの身にそうそうのことがあったとしても私が全部治しちゃいますから。それに命に代えてもなんて言われても困ります。私の大切な人を蔑ろにしてほしくないです。」

眉をを下げた碧嶺が蓮花の涙を救い拭う。
その手つきが大切なものを扱うかのごとく優しい手つきで蓮花はじわりと自身の顔が熱を帯びていくことを感じとった。
知られたくなくてつい早口になってしまった。

「むしろ私なんかに命をかけなくても......。」

「そう否定することは僕の大事な人を蔑ろにしていることに君こそ気づいていほしい。それに自分をあまり卑下しない方がいい。慕ってくれている人々がいるではないか。」

森のほうに視線をやる碧嶺。
蓮花もつられて目を移す。
森の先にはまだ議論を交わしているであろう人々がいる。
白熱しているのだろうか。
そのまま碧嶺が続ける。

「私はそんなきみがいい。きみでないといけなんだよ蓮花。」

碧嶺はそう言うと、蓮花をそっと抱きしめた。蓮花の胸元にある火晶石が、温かい光を放ち、二人の体を包み込む。その光は、まるで二人の魂が溶け合うかのように、優しく輝く祝福のようだった。

「蓮花。私は、お前と共に生きたい。この先にいる人々とと支え合いながら暮らしていきたい。蓮花の全てを愛している。今聞くのもずるいと思うが……妻になってくれるか?」