名前を奪われた少女は、妖神と共に誓いを抱いて歩む。ー名喪ノ帳帖ー

「私たちは、あなたたちの犯した罪を償う機会なんか設けることはない。どれだけ懇願されようとも許せるはずもない。あなたたちの末路は、あなたたち自身が築き上げたものだ。それが、あなたたちにふさわしい最期が待ち受けていることを願ってしまうのは仕方のないことだと受け入れていきなさい。そしてあなたたちも私を恕さななくていいから。」


その言葉を最後に、王族3名を乗せた舟を繋ぐ綱を蓮花は切り、進めた。
その舟が消えて見えなくなるまで見送った。島に漂流できるのか、はたまた水面を揺蕩い続けるのか気に留めるものはいなかった。

その後はみんなと共に、今後のあり方について話し合った。湿った土の匂いが立ち込める中、焚き火の炎がパチパチと音を立てる。その温かい光に照らされた人々の顔は、希望に満ちていた。

「もう『霜霞国』ではない、新たな国を築くべきだ」

誰かがそう口火を切った。その声に皆深く頷く。霜霞国の二の舞にはなりたくない。同じ過ちを繰り返さないために、どのような国を築くべきか。人々は互いに言葉を重ね、議論は熱を帯びていく。

「人々が互いを尊重し、支え合い、真の意味で『名』を持つことができる国とは何か」

この問いかけに、皆が真剣に考えを巡らせた。帳制度に代わる新たな仕組みを作り、全ての人が安心して暮らせる国を目指すことを、人々は固く誓い合った。