「何もそうとは言っておらぬではないか」
「なら……!」
「焦土と化した国に緑を取り戻したのは、お主の功績であろう。だが、そこから先は?島人たちを連れて国に戻った後はどうする。お主とその家族が家に戻れば、難を逃れ、今協力しつつお主の家で暮らしている人々や、島人らの住む場所はどうなる?」
「それは、森の木々を切り倒して……」
蓮花は、その先の言葉に詰まった。
「家を作ると?ならば切り倒すのに使う道具はどうする?」
「それは……」
家にある道具だけでは、とても足りない。復興を、と口では言うものの、深く考えていなかった蓮花は、言い返すことができなかった。
「煮え切らぬ、か。決断力に欠く統治者を、逑として認めることはできぬ。今すぐにでも、その霊誓紋を解いてもらえ。代わりに妾が契ろうぞ。寿命も人と妾とでは違う。非力で考えなしの人よりも、妖神同士で結ばれる方が理にかなっているであろう。お主を選んでいる碧嶺も碧嶺であるが」
黛黯は、蓮花に向かって、そう言い放った。
その言葉は、蓮花もうすうす感じていたことでもあり、言い返すことができない。
図星をつかれる蓮花。
しかし、黛黯の言葉の節々に、碧嶺のことを嘲笑っているように感じられ、つい蓮花は言い返してしまった。
「私には、父を亡くした悲しみがあります。でも、だからこそ、家を、家族を失った人々に寄り添い、そんな彼ら彼女らの故郷を復興させ、築いていくという使命があると思っています。その道を、碧嶺さんが隣にいてくださればありがたいとは思っていますが、選ばれないことは百も承知しています。



