名前を奪われた少女は、妖神と共に誓いを抱いて歩む。ー名喪ノ帳帖ー

その中には、切り離されてしまったのか孤立している土地もあり、久惔が南国だったと教えてくれた場所も、完全に隔てられた土地となっていた。

霜霞国を急ぎ巡った蓮花と久惔は、蓮花の育った家へと戻った。城の地下牢に閉じ込められていた人々は、皆で協力し合って、生きるために懸命に生活しているようだった。

蓮花は、彼らとは違う場所、森の中にある小さな小屋に、王族の3人を移した。城とは比べ物にならないくらい狭いが、3人で生活できるだけの広さは充分にある。蓮花は、自身の青い炎で、彼らの崩壊した精神を癒そうと必死に試みた。しかし、彼らを包んだ炎は、みるみるうちに紫色に変色し、そのまま消えていった。

凛音は、青い炎に包まれ、その炎が消えた後、奇麗さっぱり傷が癒えていたというのに、彼らには効果がないようだった。むしろ、その紫色に変わった炎は、彼らの苦しみを増幅させているようにさえ見える。

「俺のような赤い炎は、人々の怪我による痛みや、病などの軽い症状を治す力がある。治るのは、かすり傷や擦り傷、風邪などの、適切な治療さえ受ければそのうち治るものを、一瞬にして治すものだ。蓮花の青い炎は、命を還らせる力を持つ。